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『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』英国随一の脚本家&稀代の夫婦監督によるドリームチームがもたらしたもの

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』英国随一の脚本家&稀代の夫婦監督によるドリームチームがもたらしたもの


夫婦で監督業を手がける異色コンビへバトンタッチ



 実は、そもそもの企画はダニー・ボイルの側から立ち上がったものだった。彼はBBCで放送されたドキュメンタリー映画”The legend of Billie Jean King: Battle of the Sexes”を視聴したのをきっかけに、このテニスコート上の男女の戦い「Battle of the Sexes」に大きく心を動かされ、さっそく同題材を映画化しようと動き始める。当初は彼が自ら監督を務める予定だったというから、これが実現すれば、脚本サイモン・ボーフォイ、監督ダニー・ボイルという『 スラムドッグ$ミリオネア』(2008)や『 127時間』(2010)で鳴らしたコンビによる最新作となったわけだ。



 しかし当時製作中だった『 スティーブ・ジョブズ』(2015)に加えて、『 T2 トレインスポッティング』(2017)の企画が動き始めたことによって、ボイルのスケジュールは多忙を極めることに。彼は本作の監督を他の才能へと託し、自分はプロデューサーに回ることが最善の策と判断する。そこで白羽の矢が立ったのが、夫婦で監督を務める異才、ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスだ。


 ミュージックビデオやコマーシャルなどを手がけてきた彼らが映画監督デビューを果たしたのは2006年。それから2017年までの間に生み出した監督作は本作を含め三本に過ぎない。決して多作とは言えないが、その一本一本が極めて独創的なものであり、しかも二人の作品にはいつも「男女の視点」「夫婦の視点」「家族の視点」といったものが見て取れる。




 彼らの挑戦は今回も見事に実を結んだと見ていい。なるほど、ここには男女間の世紀の闘いという濃厚な「男女の視点」が介在するし、対戦者それぞれのプライベートに隠された「夫婦の視点」も深く描かれる。そして「家族の視点」は控えめにしても、本作ではビリー・ジーン・キングとボビー・リッグス両陣営がそれぞれに濃いキャラクターを抱え、まるで家族のように組織内で個性をぶつけ合いながらゴールに向かって突き進んでいく。その意味で、本作は「個人戦」でもあり、「団体戦」でもあるわけだ。個をしっかりと描きつつ、それらが団となった時に巻き起こるダイナミズムも決して逃さない。まさに『リトル・ミス・サンシャイン』で見せた筆致と同じだ。



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