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『デイズ・オブ・サンダー』原案:トム・クルーズ、轟音とボルテージに満ちたカーレース超大作

(c)Photofest / Getty Images

『デイズ・オブ・サンダー』原案:トム・クルーズ、轟音とボルテージに満ちたカーレース超大作

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繰り返される「父の不在」の物語



 公開時、ひときわ多く指摘されたのが、本作のストーリーが『トップガン』と極めてよく似ている点だ。


 我の強い主人公がレースの世界に入り込み、その自己中心的な性格ゆえに周囲を苛立たせつつ、ライバル(『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』ヨンドゥ役でお馴染みのマイケル・ルーカーが妙演)としのぎを削り、やがて自らの才能を大きく羽ばたかせていくーー。なるほど、基本的な骨格は全く同じと言っていい。


 さらに「父親の不在」というテーマも共通している。『トップガン』では死んだ父親の背中を追うようにしてエース・パイロットを目指す主人公の生き様が刻まれ、対する『デイズ・オブ・サンダー』では、共にチームを組んでいた父の犯罪行為により人生の挫折を味わった主人公の過去が明かされる。


 天賦の才能はあるが、実績はない。しかし弱みは絶対に見せたくない。かくも強がってばかりいる己の仮面を外し、弱音や本音を素直に打ち明けられる相手となるのが、チームを率いるロバート・デュバルだ。彼との間にはまるで擬似父子を思わせる関係性が築かれていく。



『デイズ・オブ・サンダー』(c)Photofest / Getty Images


 なぜ『トップガン』と『デイズ・オブ・サンダー』は似ているのか。もちろんそこには、『トップガン2』のような意気込みで作られたという暗黙上の背景があるのだろうが、それ以上に注目すべきは、やはりストーリーテラーとしてのトムの内面である。意識的であれ、無意識であれ、やはり繰り返されることには何らかの意味があると考えるのが筋だ。


 その点でいうとトムは、両親の離婚後、長らく連絡をとることさえなかった父親の死を1984年に経験している。「誰も描かなかったトム・クルーズ」という書籍によると、父が亡くなる前に一度、二人は「過去のことを掘り起こさない」という条件付きで再会を果たしたことがあったとか。きっとこの時期、トムの中では様々な記憶や感情が呼び覚まされたことだろう。ちなみに『トップガン』は父の死の翌年に撮影された作品だ。


 一方の『デイズ・オブ・サンダー』は、相変わらず映画本編に父親役が登場することはないが(エピソードとして語られるのみ)、『トップガン』に比べると、父親の影響からいかに解き放たれていくかという点で、少しだけ主人公の成長や物語の進展が見て取れる。これは実父の死から数年の歳月を経て、トムの中でそれなりの変化が生じた証なのかもしれない。




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