1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. エイリアン:ロムルス
  4. 『エイリアン:ロムルス』ザ・ガール・ロスト・イン・スペース
『エイリアン:ロムルス』ザ・ガール・ロスト・イン・スペース

(c)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『エイリアン:ロムルス』ザ・ガール・ロスト・イン・スペース

PAGES


“悲鳴”の起源と原体験



 『エイリアン:ロムルス』はシリーズの起源に向け、深く潜っていく。シリーズを振り返る“ベスト盤”ともいえるアトラクション型の娯楽性を保ちながら、そのリスペクトは表面上のオマージュに留まらない。元を辿れば、『エイリアン』の宇宙船内の美しいセットは、セットデザイナーがゴミ捨て場から集めてきた何トンにも及ぶ電気機器のガラクタや解体された航空機をつなぎ合わせたものだった。このシリーズの宇宙船は、その始まりから既に“廃墟”であり“幽霊船”だったといえる。


 『エイリアン』が公開されたときオーディエンスが感じた恐怖への回帰。フェデ・アルバレスは、かつてケイン(ジョン・ハート)の体を突き破って誕生したチェストバスターへの恐怖に回帰することを目指したという。エイリアンの幼体であるチェストバスターのデザインは、『エイリアン』のデザインを担当することになるH.R.ギーガーにフランシス・ベーコンの「キリスト磔刑図を基盤とした3つの人物画の習作」をリドリー・スコットが見せたことから生まれたものだ。ほとんど確認できない目、剥き出しにされた歯。フランシス・ベーコンの描いた絵では“悲鳴”をあげている謎のクリーチャーのように見える。初公開時に恐怖を感じたオーディエンスだけでなく、チェストバスターまでもが、その誕生から“悲鳴”をあげていたといえる。



『エイリアン:ロムルス』(c)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.


 『ドント・ブリーズ』(16)をはじめホラー映画でキャリアを築いてきたフェデ・アルバレスと『エイリアン』シリーズの間には運命的としか思えない関係がある。『エイリアン』のアイデアは、原案者のダン・オバノンがリドリー・スコットにH.R.ギーガーによる「ネクロノミコン」の作品集を見せたことで核となる要素がまとまったと言われている。「ネクロノミコン」とは怪奇幻想小説家ラヴクラフトの作品に登場する架空の魔導書であり、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』(81)でも参照されている。フェデ・アルバレスは2013年に『死霊のはらわた』のリメイク作品を手掛けている。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. エイリアン:ロムルス
  4. 『エイリアン:ロムルス』ザ・ガール・ロスト・イン・スペース