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『ビバ!マリア』二大スターの共演、“アンファンテリブル”としてのブリジット・バルドー

©1965 Nouvelles Editions de Films NEF (France) / Vides (Italie)

『ビバ!マリア』二大スターの共演、“アンファンテリブル”としてのブリジット・バルドー

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『ビバ!マリア』あらすじ

20世紀初頭の中南米。アナーキストの父と破壊活動をしていたマリーは父の死後、警察に追われて旅芸人の一座に逃げ込む。ちょうど花形女優マリアの相手役が自殺したところで、マリアが新パートナーにマリーを指名し、マリーをスペイン語式にマリアとしてコンビを組む。“マリアとマリア”で売り出し、2人は大人気に。ところが、通りかかった村で民衆を虐げていた政府軍にマリーが発砲してしまい、一座は囚われの身になる。


Index


“二人の聖なるモンスター”



「ジャンヌ・モローのような圧倒的な存在感を持つ個性と、とてつもない才能に負けてはいられないという気持ちがあった」(ブリジット・バルドー)*1


 爆破に次ぐ爆破。『ビバ!マリア』(65)はアナーキストの父と幼い娘による遍歴を紹介する短いクリップを経て、ブリジット・バルドーの愉快なアクションシーンへと続いていく。男装の麗人のような装いで列車に乗りこむマリー=ブリジット・バルドー。無声映画の喜劇俳優のような身振りがこちらの意表を突く。チャップリン的な装いがとてもよく似合っている。マリーは列車の屋根の上を歩く。放浪の旅。旅芸人たちの馬車に乗り、屋根の上から窓に向けてひょいと顔を出すアクション等、古典喜劇風でありつつ、ウェス・アンダーソンの映画にも引き継がれているコメディの身振りがひたすら楽しい(ウェス・アンダーソンはルイ・マルのことを映画作家としての「模範」であると賛辞を送っている)。後年ブリジット・バルドーは『ラムの大通り』(71)でサイレント映画時代のスターを演じることになる。サイレントの喜劇映画のように進んでいく『ビバ!マリア』の冒頭は、ブリジット・バルドーがタイムレスに映画から愛される天賦の俳優、被写体であることを、たった数分間の内に証明している。



『ビバ!マリア』©1965 Nouvelles Editions de Films NEF (France) / Vides (Italie)


 マリーは旅芸人のマリー(ジャンヌ・モロー)にナイフを突きつける。フランスを代表する二大スターのファーストコンタクトは、ナイフを突きけるシーンから始まる!本作はブリジット・バルドーとジャンヌ・モローの共演という話題性により、撮影に入る前から様々なノイズが鳴りやまなかったという。マスメディアは二人のライバル関係や不仲をでっち上げた。本作はメキシコで撮影されている。広大なロケ地、昼間は40度を超える気温、シャワーに使う水でさえ気を付けなければならない環境、800人ものエキストラが参加する群衆シーン、ジャンヌ・モローとブリジット・バルドーのそれぞれのお抱えスタッフとの移動、そしてスクープを狙う報道陣など、ルイ・マル監督作品が経験したことのないほど大規模な撮影になったという。ブリジット・バルドーは並々ならぬ気持ちでこの撮影に挑んでいる。


「ジャンヌと私はありきたりの挨拶を交わし、おたがいに仲良くやっていこうと約束しあった。こんな約束はうわべは頼もしいが、実際はあてにならない。これは、このうえなく育ちがよく、激烈な闘争心を内に隠した、二人の聖なるモンスターの儀礼にのっとった出会いだったのである」(ブリジット・バルドー)*1



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