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『カップルズ』まるで“エドワード・ヤン・ユニバース”、その関連性を堪能する

© Kailidoscope Pictures

『カップルズ』まるで“エドワード・ヤン・ユニバース”、その関連性を堪能する

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『カップルズ』あらすじ

急激な経済成長を遂げ、多国籍の街となった台湾の首都・台北。

レッドフィッシュ、ホンコン、トゥースペイスト、そして新人のルンルンは、4人組の青年ギャング団として“アジト”に集い、すべてみんなで分け合うというルールで行動している。リーダー格のレッドフィッシュの指揮のもと、ホンコンは女性をもてあそび、トゥースペイストは通称“リトルブッダ”としてニセ占いで稼いでいる。

彼らがいつものようにハードロックカフェで飲んでいると、フランスからやってきたマルトという女性と出会う。彼女はイギリス人デザイナーのマーカスを追っかけてきたのだった。 マルトに恩を売って、金儲けをしようと企むレッドフィッシュ、ひそかに彼女に心を寄せるルンルン。レッドフィッシュの父の借金返済を迫るヤクザが、レッドフィッシュとルンルンを間違えたことをきっかけに、彼らの関係は大きく変わっていくのだった――。


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“エドワード・ヤン・ユニバース”の残る大物映画がついに4Kレストア版で復活!



 台湾映画を代表する伝説の鬼才、エドワード・ヤン監督(1947年生~2007年没)の評価と影響力は時と共に高まっているようだ。結果的に最後の長編監督作となった『ヤンヤン 夏の想い出』(00)で第53回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、これから世界的な巨匠の道を堂々歩んでいくと思われたが、まもなく闘病生活に入ってしまい、2007年6月29日、米カリフォルニア州ビバリーヒルズの自宅で逝去。享年59歳という若さだった。


 彼が遺した長編映画は計7作。その多くは権利関係の問題で長らく“幻の傑作”扱いされていたのだが(『ヤンヤン 夏の想い出』などは2017年に至るまで本国・台湾では未公開だった!)、そのあまりに豊潤なフィルモグラフィーを現在に向けて解放したのはデジタルリマスター化の波である。まず2015年には『恐怖分子』(86)がリマスター版で上映。2016年には『牯嶺街少年殺人事件』(91)が4Kレストア化され、日本でも同年10月の第29回東京国際映画祭でのプレミア上映を経て、2017年に劇場公開。さらに同じタイミングで『台北ストーリー』(85/主演は台湾ニューシネマの盟友ホウ・シャオシェン監督!)も4Kレストア化。続いて濱口竜介、三宅唱、岨手由貴子らも多大な影響を受けたと公言する『エドワード・ヤンの恋愛時代』(94)の4Kレストア版が2022年のヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映され、翌年には日本でも劇場公開。2023年には台湾で大回顧展『一一重構』が催された。もはや生前のリアルタイムを凌駕する盛り上がりに到達している、実質的に“現役”のシネアストだと言っていい。



『カップルズ』© Kailidoscope Pictures


 そんな早すぎた映画作家――エドワード・ヤンの諸作の中でやはりずっと視聴が困難な状況にあり(VHSビデオのほか、2002年にはアップリンクからDVDが発売されたが廃盤となり高騰!)、再公開が待たれていたのが長編第6作の『カップルズ』(96)だ。そしてついに2023年、台湾の映画機関TFAIにより4Kレストア版として修復され、2025年4月18日(金)より日本でロードショーされる。まさに待望のリバイバル上映!




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