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『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズNever Look Back

©2025 PARAMOUNT PICTURES.

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズNever Look Back

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トム・クルーズという仕事



 トム・クルーズという男について語る時、彼のワーク・ライフ・バランスに触れなければならないだろう。トムクルさんは名実ともにハリウッドのスーパースターだが、同時に映画プロデューサーでもある。かつて自分の会社を興した直後の来日時には、漢字で「社長」、カタカナで「トム・クルーズ」と書かれた名刺を配っていたという。最近でもトムクルさんの日本の母こと、通訳の戸田奈津子氏にお歳暮を贈っていることが明らかになった(ハムだったそうだ。ちゃんとお歳暮と書かれ、のしもついていたという)。もちろんハリウッドでも同じようなことをしており、トムクルさんは毎年クリスマスになると、友人や共演者などにケーキを配っている。しかもアメリカ国外にいる相手には、プライベートジェットを使って運ぶそうだ。昭和のサラリーマンのような姿勢だが、実際、彼の働き方は昭和感が満載である。あえて死語を使って表現するなら、トムクルさんのマインドは間違いなくモーレツ社員のそれだ。


 トムクルさんの凄まじい働き方には、数々の伝説がある。『M:I-2』(00)のジョン・ウー監督は、トムクルさんから「朝の4時に電話がかかって来た」と語っているし、トムクルさん本人も「別に仕事中毒ではないけど」と断ったうえで、同作での自身の働きぶりについてこう語った。「プロデューサーをやってると、一日も休日がないからね。30時間ぶっ通しで、働いた日も何十日となくあって、全てが終わった時には、これ以上何ができる? 何がある? って感じになったよ」……映画の裏でこんな働き方をしながら、『M:I-2』では本当に崖を登ったり、本物のナイフを目の前で寸止めしたりしていたのだ。当時37歳、まさに働き盛りだが、常人の働き盛りを遥かに超える体力と精神力である。



『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』©2025 PARAMOUNT PICTURES.


 一方で、この頃にはトムクルさんは、こんなことも語っている。すでに大スターになっていたトムクルさんのところには、いわゆる胡散臭い業界の人が近寄って来ることも多かったそうだ。しかし、本人曰く……「そういう歪んだ人達って、結局は僕と同じくらい仕事をしないから、いつしか僕に付いてこれなくなる」トムクルさんが壮絶な働き方をするのは、単に働くのが好きなだけではなく、怪しげな誘惑も多いハリウッドで培った、ひとつの生存戦略なのかもしれない。


 そして、こんなド根性な働き者であるトムクルさんだが、映画人としてはもう一つの強烈な個性を持っている。それは徹底した“本物”至上主義者であることだ。





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