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『ゾンビ』公開から40年、今でも鮮明な恐怖と絶望。ジョージ・A・ロメロ監督

『ゾンビ』公開から40年、今でも鮮明な恐怖と絶望。ジョージ・A・ロメロ監督


もはや難しい実物商業施設の使用



 こうした『ゾンビ』も、公開から既に40年。テンポの早い展開や、編集の異なるバージョン等が誘いとなって恒久的にファンを生み、経年をあまり感じさせることはない。しかしゾンビがエレベーター内を襲うキービジュアルにトラウマを覚えた少年少女たちも、今やほとんどが中老の域に達し、ロメロ監督は既に亡くなっている。


 だが、こうした長い歳月を経たことで、モノの真価が判然とする場合もある。『ゾンビ』もそんな作品のひとつとして、今では得ることのできない価値を有しているのだ。


 たとえば本作の重要なポイントのひとつである、巨大ショッピングモール。この映画ではペンシルベニア州ピッツバーグにある「モンロービル・モール」がロケ地として利用された。しかし、実在する巨大商業施設を長期に借り切って撮影するという発案は、今や成立しづらいものになっている。撮影がおよぼす営業への影響や、テナントとして契約している企業の商標権など、現代ではクリアすべき部分が多く、実際の現場で撮影するのは困難を極めるのだ。




 このことは『ゾンビ』のリメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04)が明快に物語っている。同作では舞台となるショッピングモールがセットによって築かれ、店舗の大半は法的な問題を考慮し架空の企業に変えられている。作品としては悪くない印象を残した『ドーン・オブ・ザ・デッド』だが、モールに関しては撮影に応じて急造したものという感は否めない。


 『ゾンビ』はパニックに乗じてモールの商品を独占するという、人間の内に秘めた欲望を刺激する作品でもある。そのため、そこに写っている全てが「本物」であるという説得力に勝るものはないのである。





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