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『遊星からの物体X』異形をアートにした神童、ロブ・ボッティンの至芸 ※注!ネタバレ含みます。
2018.10.30
※2018年11月記事掲載時の情報です。
『遊星からの物体X』あらすじ
物語の舞台は冬の南極基地。宇宙より飛来し墜落、10万年もの間氷漬けになっていた未知の生命体が永い眠りから解き放たれ人類へと襲い掛かる。人間の体内に侵略し擬態をする“物体X”は、南極隊の仲間へと次々に姿を変え孤立した基地内に潜む。やがて疑心暗鬼に陥った隊員たちは死と隣り合わせの混乱の一夜を迎える―。
Index
クリーチャーをよりリアルに感じさせる「デジタル・リマスター版」
現在、鬼才ジョン・カーペンターが手がけた侵略SF映画の名作『遊星からの物体X』(82)が、〈デジタル・リマスター版〉と銘打ってリバイバル公開中だ(※2018年11月記事掲載時の情報です)。今回のデジタル・リマスター版は35mmオリジナルカメラネガをもとに、NBCユニバーサル・スタジオポストで新たに素材をスキャン。その素材にレストア(復元)とグレーディングがほどこされ、同作の撮影監督であるディーン・カンディが監修・承認したものだ。既発売のブルーレイに見られるような揺れや傷などが修正され、とても36年前のものとは思えぬ高画質で本作と接することができる。
『遊星からの物体X』予告
特に際立つのは、劇中に登場する未知の地球外生命体が、よりリアルな質感をまとい迫ってくるところだろう。初公開時、ビジュアルに関して配給会社のユニバーサルピクチャーズは彼らの一部しか露出解禁をせず、劇場で明らかになったその姿に観客は度肝を抜かれた。地球外生命体が人間や犬に同化し、そして乗っ取るまでのプロセスがあまりにも内臓感覚に満ち、それ自体が異貌を極めたクリーチャーだったからだ。その容姿は本作の前史的続編『遊星からの物体X ファースト・コンタクト』(11)で女性古生物学者を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドが、正鵠を射た形で言い表している。
「このシリーズの怪物は気味が悪くて恐ろしいけど、ある意味、とても美しいの」