1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 遊星からの物体X <デジタル・リマスター版>
  4. 『遊星からの物体X』はカーペンターの〈黙示録〉トリロジー第一作だった!※注!ネタバレ含みます。
『遊星からの物体X』はカーペンターの〈黙示録〉トリロジー第一作だった!※注!ネタバレ含みます。

(c)1982 UNIVERSAL CITY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED

『遊星からの物体X』はカーペンターの〈黙示録〉トリロジー第一作だった!※注!ネタバレ含みます。

PAGES


※2018年11月記事掲載時の情報です。


『遊星からの物体X』あらすじ

物語の舞台は冬の南極基地。宇宙より飛来し墜落、10万年もの間氷漬けになっていた未知の生命体が永い眠りから解き放たれ人類へと襲い掛かる。人間の体内に侵略し擬態をする“物体X”は、南極隊の仲間へと次々に姿を変え孤立した基地内に潜む。やがて疑心暗鬼に陥った隊員たちは死と隣り合わせの混乱の一夜を迎える―。


Index


『遊星からの物体X』は私の黙示録三部作の一作目だ



 監督のジョン・カーペンターは『遊星からの物体X』(82)と、その後12年にわたり制作された、『パラダイム』(87)、『マウス・オブ・マッドネス』(94)を黙示録三部作と位置づけている。上記三作のストーリーには直接的な関係性はないが、世界の終末を描いているという一点において、カーペンターは「黙示録」という表現を用いているようだ。


 そもそも黙示録とは新約聖書の終盤に配された「ヨハネの黙示録」のことで、神と悪魔が戦う世界の最期を抽象的に描いたもので、聖書の中でも唯一預言的なパートと言われている。しかし、思い出してみるとカーペンターは上記三本に限らず、『光る眼』(95)や『エスケープ・フロム・LA』(96)、『ゴースト・オブ・マーズ』(01)などでも、世界の秩序が崩壊するイメージを繰り返し描いてきた。つまり彼は常に世界の終りを描いてきた作家とも言えそうだ。カーペンターが監督したテレビシリーズ「マスターズ・オブ・ホラー」の中の一編には、そのものずばり「世界の終り」というタイトルの作品さえある。



『遊星からの物体X』(c)1982 UNIVERSAL CITY STUDIOS, INC. ALL RIGHTS RESERVED


 『遊星からの物体X』はそんな「世界の終り」を描く作家、カーペンターが持つ人間へのアイロニーと娯楽性が高度な次元で融合した奇跡的な傑作だと言える。では『遊星からの物体X』で彼が描こうとした世界の終焉とは何だったのか?



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 遊星からの物体X <デジタル・リマスター版>
  4. 『遊星からの物体X』はカーペンターの〈黙示録〉トリロジー第一作だった!※注!ネタバレ含みます。