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『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち

(c)1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

『2001年宇宙の旅』キューブリックが徹底研究した作品と、集められたスペシャリストたち

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『2001年宇宙の旅』公開後の評価とトランブルの評判



 『2001年宇宙の旅』は公開直後、あまり好意的な評価を得ていない。それは難解なテーマゆえ、観客の多くが困惑してしまったからだろう。だが再上映を繰り返す内に評価は高まって行き、それに比例するようにトランブルも有名になっていった。彼は、映画業界誌の「アメリカン・シネマトグラファー」(JUNE 1968)に『2001年宇宙の旅』のメイキング記事を寄稿し、世間はまるで彼がメインで特撮を指揮したかのように受け取ってしまう。



『2001年宇宙の旅』(c)1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.


 だがその後のトランブルは、『未知との遭遇』(1977)や『ブレードランナー』(1982)の特撮スーパーバイザーとして実績を重ね、『サイレント・ランニング』(1972)や『ブレインストーム』(1983)の監督としても活躍した。さらにショウスキャン(*9) やシミュレーション・ライドといった、新しい映像システムも数多く生み出している。だから才能があったのは間違いないのだろう。だが多くの先輩たちの活躍があってこそ、『2001年宇宙の旅』の特撮があの水準に達したということを忘れてはならない。


*9:ショウスキャンは、70mm 5パーフォレーションのフィルムを通常の2.5倍となる毎秒60フレームで撮影・上映するシステム。



文:大口孝之 (おおぐち たかゆき)

1982年に日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター。EXPO'90富士通パビリオンのIMAXドーム3D映像『ユニバース2~太陽の響~』のヘッドデザイナーなどを経てフリーの映像クリエーター。NHKスペシャル『生命・40億年はるかな旅』(94)でエミー賞受賞。最近作はNHK Eテレ『コングラ CGの教室』(18)の監修。VFX、CG、3D映画、アートアニメ、展示映像などを専門とする映像ジャーナリストでもあり、映画雑誌、劇場パンフ、WEBなどに多数寄稿。デジタルハリウッド大学客員教授の他、東京藝大大学院アニメーション専攻、日藝映画学科、日本電子専門学校などで非常勤講師。



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