1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ズートピア2
  4. 『ズートピア2』ディズニー・アニメがネクストレベルで描く、アメリカの本質
『ズートピア2』ディズニー・アニメがネクストレベルで描く、アメリカの本質

(c) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『ズートピア2』ディズニー・アニメがネクストレベルで描く、アメリカの本質

PAGES


ジュディとニック、考え方の相違



 登場するのはお馴染み、ウサギのジュディとキツネのニック。2人は前作にて、さまざまな動物たちが暮らす大都市・ズートピアで知り合い、都市の背後にある事件と、草食動物と肉食動物を分断しようとする悪しき陰謀を協力して暴き、解決へと導いた。そして、ともに警察官として新生“バディ”を組んだのだった。


 シリーズ人気の引力となっているもう一つの要素が、このジュディとニックを中心とする“関係性”の描写だ。2人のやり取りは、ほのかに恋愛を意識させるところがありながらも、一方では友情や、認め合う仕事仲間としての付き合いだと解釈もできるライン。その多層的な可能性がいくつもの想像を生み、ファンのさまざまな解釈を誘発し、二次創作などのファンダムの層も厚い。


 そしてこの異種族の密接ながら自立し合う関係性は、真のパートナーとは必ずしも恋愛や結婚というかたちに縛られない存在だという、多様な価値観に対応したものだ。『アナと雪の女王』シリーズが、女王エルサに特定のパートナーを設定しないのと同様、ある面ではプリンセスという特権性を肯定的に描きつつも、そこに革新性を含ませているのが、近年のディズニー作品なのだ。



『ズートピア2』(c) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.


 さて本作では、密輸事件を追う際にジュディたちが発見したヘビのぬけがらが、より大きな事件への発端となり、ストーリーを動かしていく。ズートピアでは、長年のあいだ爬虫類が街に出現することはなかったのだという。密輸犯の逮捕時に騒動を起こし、スイギュウのボゴ署長の怒りを買ったジュディとニックは、この謎を秘密裡に追うべく、ズートピア創始者であるリッチなオオヤマネコのリンクスリー家が主催する、街の創立100周年を祝う大規模なパーティーに潜入する。


 そこで日誌を盗み出そうとしていたのが、ヘビのゲイリーだ。ジュディに追い詰められると、リンクスリー家に保管されていた日誌は、自分の一族の名誉を回復し助けるものだと弁解する。一族の代表であるミルトン・リンクスリーは、そこで日誌を調べようとするジュディが、ヘビの犯行を助けたと主張。咄嗟に逃げたジュディとニックは、容疑者として警察に追われることとなるのだ。


 逃亡者になったことで、ジュディとニックの考え方の違いが露呈する。ジュディはどんな障壁があっても、危険な目に遭っても、世の中を良くするために行動することが大事だと行動で示す。しかしニックはそんなジュディの姿勢についていけず、自分たちがそこまでのリスクをとる必要はないと主張する。これは、いつでもまっすぐ進んできたジュディと、自分を守るために皮肉的な態度で現実と付き合ってきたニックの根本的な相違だといえる。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ズートピア2
  4. 『ズートピア2』ディズニー・アニメがネクストレベルで描く、アメリカの本質