© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights
『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナンが女優として、作り手として、自分自身を捧げた渾身作
2026.01.20
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シアーシャ・ローナン初プロデュース作
『つぐない』(07)のブライオニー役で世界に衝撃を与えて以来、私たちはシアーシャ・ローナンが女優として成長していく姿を20年近く見続けてきた。多くの子役出身俳優が伸び悩んだり躓いたりする中、ローナンはその才能を微塵も濁らせることなく、透明感あふれる凛とした存在感とまっすぐな瞳の輝きを更新し続けている。
その変わらぬ魅力の秘訣は何なのか。理由の一つになるかどうかは分からないが、俳優出身の父と撮影現場に同行し娘を守り続けた母はいつも「楽しいと感じられなくなったら、この仕事をやめなさい」(*1)という方針を掲げていたとか。そして、現在の夫であるジャック・ロウデンは、シーアシャが役をどう演じるべきか悩む姿を見せることなく、圧倒されるほどの演技を「いとも軽々とこなしていく様に感銘を受ける」と語る(*2)。
そんな彼女も『ブリッツ ロンドン大空襲』(24)で初めて母親役を演じ、『おくびょう鳥が歌うほうへ』(24)では主演のみならず、ロウデンと共に初のプロデューサー業に進出した。これはとても小さな映画でありながら、しかし愛情を込めて、とても大切に生み出された作品であることは明らかだ。

『おくびょう鳥が歌うほうへ』© 2024 The Outrun Film Ltd., WeydemannBros. Film GmbH, British Broadcasting Corporation and StudioCanal Film GmbH. All Rights
ロンドンで全てを失ったヒロインの帰郷
原作はエイミー・リプトロットによるベストセラー回想録。ロンドンの大学院で生物学について研究する主人公ローナは、次第にアルコールに溺れて深刻な中毒症状に陥ってしまう。人間関係は崩れ、恋人にも去られ、ロンドンで築き上げた全てを失った後、リハビリを終えて10年ぶりに故郷のオークニー諸島(グレートブリテン島最北端のさらなる北側の沖合に広がる)へ戻ることに。
その後も幾度となくアルコールの誘惑に見舞われ、両親との折り合いや地元との関係性に悩み続けるローナ。なかなか光は見えない。しかし職を得た王立鳥類保護協会で絶滅危惧種のウズラクイナの生息状況について調べる中、少しずつ自分自身と大自然に満ちた故郷のことを見つめ直していき…。