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『28年後... 白骨の神殿』神なき世界で何を信じるか

『28年後... 白骨の神殿』神なき世界で何を信じるか

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神なき世界で何を信じる?



 『28年後... 白骨の神殿』が描くのは、すでに社会と文明が失われ、凶暴な感染者がいつ襲いかかってくるかわからない不条理な世界でいったい何を信じるのか、そして何を頼りにコミュニティを組み立てるのかという問題だ。


 幼少期に牧師の父親を失ったジミー・クリスタルにとって、それは「暴力」だった。ジミーは“覇王”である父親との妄想的な関係に耽溺し、父親に捧げるため、「フィンガーズ」と呼ぶ若い7人の手下(全員が“ジミー”の名で呼ばれる)を使って罪なき人びとを殺害してゆく。


 イエス・キリストを憎み、神による救済をまったく信じないジミー・クリスタルにとって、崩壊後の世界で信じられるのは暴力と命を奪うことによる勝利のみ。しかも自分の手は汚さず、暴力を命じることで手下を支配する。ただし彼の語る教義はいかにも出任せで、根拠もなければ説得力もない。



『28年後... 白骨の神殿』


 前作『28年後...』は少年スパイクの成長譚だったが、本作はジミー・クリスタルと医師ケルソンの物語だ。前作同様、ケルソンは“白骨の神殿”を築き、死者の骨を高く積み上げて弔いを続けている。ケルソンが信じるのは、「治療」や「葬送」によって暴力を“解毒”することだ。アルファ感染者のサムソンにモルヒネの矢を打ち込み、殺すことなく関係を育んできたケルソンは、ある日、サムソンに思いがけない変化が起きていることに気づく。


 ジミー・クリスタルとケルソンが自ら掲げ、そして信じるのは、それぞれが終末世界の空洞――すなわち拭いきれない孤独を耐え忍ぶための信仰だ。一人ぼっちで生きてきたケルソンの生活には孤独の痕跡がありありと見て取れる。ジミー・クリスタルは思わぬ形で仲間を失ったとき、孤独の記憶と予兆に――彼の心に入り込んでくる静けさに――おびえている。





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