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『ストレイト・ストーリー』デヴィッド・リンチらしくない? まっすぐな筆致で描くアメリカの“実相”

© 1999 –STUDIOCANAL / PICTURE FACTORY –Tous Droits Réservés

『ストレイト・ストーリー』デヴィッド・リンチらしくない? まっすぐな筆致で描くアメリカの“実相”

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デヴィッド・リンチらしからぬ世界



 『ストレイト・ストーリー』(99)の公開は、デヴィッド・リンチ監督のファンにとっては小さくない“事件”といえるものだった。なにせタイトル通り、まさにひたむきな「“まっすぐな物語”」なのだ。ある老年の男性がたったひとり、時速わずか8kmのトラクターに乗って州をまたいで移動し、兄に会いに行ったという、ニューヨークタイムズに掲載された感動の実話の映画化……。それは、リンチ監督が得意とする、不穏で不気味な世界とはかけ離れたものだった。


 そんな内容であれば、他の監督でもいいのでは……? そのように、ファンの多くは感じたのではないだろうか。TVシリーズ『オン・ジ・エアー』などのリラックスした作品は例外的にあったものの、最初の映像作品である『6・メン・ゲッティング・シック』(67)以来、ほとんどの作品でリンチは、みなぎった緊張と不安を不気味に表出してきた。ましてや、『ロスト・ハイウェイ』(97)なる、最高度にアートでビザールな傑作をものにした後でもあった。



『ストレイト・ストーリー 4Kリマスター版』© 1999 –STUDIOCANAL / PICTURE FACTORY –Tous Droits Réservés


 本作『ストレイト・ストーリー』の内容を見ると、確かに普段の「リンチ印」といえる演出は抑えめだ。インダストリアルなノイズが流れているわけでもないし、主人公を異常な状況へと誘う怪しい人物やアイテムが登場するわけでもない。矛盾しているようだが、“普通の感動作”に見えることが、むしろ新鮮ですらある。しかし本作はそれでいて、やはりリンチ作品だとしか言えない瞬間も多々見られる。ここでは、その詳細を明らかにしながら、本作がリンチにとってどんな作品だったのかを明らかにしていきたい。





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