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『28年後...』コロナ禍やブレグジットの模倣を超えて イメージを拡張する寓話

『28年後...』コロナ禍やブレグジットの模倣を超えて イメージを拡張する寓話

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※本記事は物語の核心に触れているため、映画未見の方はご注意ください。


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『28日後...』の“28年後”



 物語の語り手が寓話を選択することには意味がある。ましてや、現実のパンデミックを経験した世界で、“感染”の物語を描くときには。


 映画『28年後...』(25)は、いまやゾンビ映画の名作として名高い『28日後...』(02)から、まさに“28年後”の物語。監督のダニー・ボイル、脚本家のアレックス・ガーランドが復帰し、新たなストーリーを紡ぎ出した。ボイルは続編『28週後...』(07)の設定をあえて無視したこと、これがシリーズの「リブートのような」作品であることを認めている。



『28年後...』予告


 人間の怒りを増幅して凶暴化させる、脅威のレイジウイルスがイギリスに蔓延してから28年が過ぎた。感染を免れた人々は本土を逃れ、イギリス北東部沿岸のホリー島に暮らしている。パンデミックのためあらゆるテクノロジーは失われ、住民の生活はさながら中世のよう。イギリスは世界から隔離されており、諸外国の支援を受けることすらできない。


 そんなホリー島とイギリス本土をつなぐ唯一の道がある。干潮時にだけ現れる一本の“土手道”だ。道の手前には巨大な門扉と見張り台がそびえ立ち、常に誰かが目を光らせている。視察や物資調達の任務に向かう男たちは、わずかな時間を狙って島を行き来しなければならない。


 12歳の少年スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)は、父ジェイミー(アーロン・テイラー=ジョンソン)とともに本土へ向かう任務の当日を迎えた。難病を患い、記憶能力に問題を抱えた母アイラ(ジョディ・カマー)は、スパイクを心配して激しく反発する。しかしスパイクは、それでも自分が知らない世界を見てみたかった――。




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