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『旅の終わりのたからもの』悲しみを越えて世代間で交わされる”伝承”の物語

© 2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS

『旅の終わりのたからもの』悲しみを越えて世代間で交わされる”伝承”の物語

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 ロードムービーというジャンルの優れた点は、約120分という時間軸の中、ゆったりとしたペースで旅情や人間模様を紡いでいけるところ。たとえ本作のように、主人公が思い出したくない悲劇の地が旅の目的地に待ち受けていたとしても、車窓を過ぎゆく景色、旅先で出会う人々、そして何より同行者との間で徐々に近まっていく心の距離が、主人公の胸詰まる思いを静かに支えてくれる。


 ここに描かれるのは家族のルーツをめぐる探究であり、その性質上むしろ追悼の旅と呼ぶ方がふさわしい。もしくは、生涯忘れることのできない記憶が世代間で受け継がれてゆく、その作用や力学についての物語と言えるのかもしれない。


『旅の終わりのたからもの』© 2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS


Index


悲しみの歴史を紐解く旅



 時は1991年。別々の便でニューヨークを発ち、民主化されて間もないポーランドに降り立ったジャーナリストのルーシー(レナ・ダナム)と父エデク(スティーヴン・フライ)は、かつて父が幼少期を過ごしたこの国をめぐる旅に繰り出す。


 まず目指すのは、家族が暮らしていた街・ウッチ。しかし父の行動は最初から勝手気ままで、なぜか列車への乗車を頑なに拒否したかと思うと、代わりの移動手段となるお抱えタクシーをチャーターしてくるなど、あくまで自分のペースを崩そうとしない。


 50年近く前、家族の身にいったい何が起こったのか。いち早くルーツに触れたいルーシーをよそに、のらりくらりと観光名所を巡って核心を避けようとする父。そんな彼を説得し、すっかり他人の手に渡った工場や、ポーランド人家族が何十年も居座ったままの自宅、そして旅の果てには、家族の多くが死に追いやられたアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所の跡地を目指すことになるのだが…。





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