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『そして彼女たちは』5つの軌跡が揺るぎない感動を呼ぶ、巨匠ダルデンヌ兄弟の到達点

ⓒLes Films du Fleuve - Archipel 35 - The Reunion - France 2 Cinéma - Be Tv & Orange - Proximus - RTBF (Télévision belge) / PhotoⓒChristine Plenus

『そして彼女たちは』5つの軌跡が揺るぎない感動を呼ぶ、巨匠ダルデンヌ兄弟の到達点

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響きあう過去、現在、未来



 やがて5つの流れが河口にたどり着く時、若き母親たちは誰もが穏やかな希望に包まれている。それは決して絵に描いたようなハッピーエンドではないが、あくまで現実に根差した、後悔のない終着地。いや、主人公たちからすればここからがスタートという言い方もできるのだろう。


 興味深いことに、クライマックスに差し掛かるにつれ、彼女たちの姿に自ずと過去、現在、未来が重なって見えてくる。誰もが母のお腹から生まれた存在だ。ならば当時、母はどんな思いで自分を生み、その小さな身体を胸に抱いただろう。そしていま自分が母となって抱きかかえる我が子は、18年後の未来に何を思うだろうか。人生は絶え間ないバトンリレーのようだ。命だけではない。思いもまた受け継がれる。それが呪縛となる時もあれば、大きな救いとなる時もあるはずだ。



『そして彼女たちは』ⓒLes Films du Fleuve - Archipel 35 - The Reunion - France 2 Cinéma - Be Tv & Orange - Proximus - RTBF (Télévision belge) / PhotoⓒChristine Plenus


 我々が目にする工場前のシーンはまさにその典型。ほんの半分だけ開かれた扉の前で、母と子がついに思いを交わし合うくだりには計り知れない感動が込み上げる。そして一人の登場人物がそっとしたためる手紙もまた、未来へ向けて開かれた繋がりの扉と言えるだろう。


 加えて、“音楽”も心を震わす大切な要素だ。会話の中で楽器に関する話題が持ち上がるたび、作品に豊かなうるおいが沁み渡っていくかのよう。それからラストには思いがけないダイナミズムが待っている。このたまらない飛翔感。清々しさ。ひだまりのような温もり。まさか自分がこんなにも感極まってしまうとは。ダルデンヌ兄弟の38年に及ぶキャリアにおける一つの到達点だと、私にはそう思えてならないのだ。


参考資料:

『そして彼女たちは』プレス資料

(*1)https://www.rogerebert.com/interviews/jean-pierre-luc-dardenne-brothers-young-mothers-interview



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。




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『そして彼女たちは』

全国絶賛公開中!

配給:ビターズ・エンド

ⓒLes Films du Fleuve - Archipel 35 - The Reunion - France 2 Cinéma - Be Tv & Orange - Proximus - RTBF (Télévision belge) / PhotoⓒChristine Plenus

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