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『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』70年代末の空気や熱量を蘇らせ、『アイデン&ティティ』の魂を受け継いだ渾身作!

©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会

『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』70年代末の空気や熱量を蘇らせ、『アイデン&ティティ』の魂を受け継いだ渾身作!

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三者が醸成する”恋愛なし”のまっすぐなエネルギー



 同資料を紐解くと、当初はもっとドキュメンタリー色の強い脚本になっていたようだ。だがそれだとあまりにマニアックすぎるので、もっと青春ドラマとしての要素やフィクションを盛り込む形で改稿が重ねられたという。私みたいな日本のロックシーンに詳しくない人間が惹きこまれたのも、本作が普遍的かつエンタテイメント性に富んだものだからだろう。


 特に興味深いのは、ユーイチ、サチ、モモという三者が一体となって織りなす特殊な関係性を軸にしていること。


 ユーイチは音楽の才能はないが、写真が撮れるし、メジャーなレコード会社との調整役も担うほどの好奇心と責任感の持ち主。サチの実家は印刷会社を営み、モモの実家はレコード屋である。映画の中ではパンクの重要な要素として「DIY精神」が挙げられるが、この3人がいれば最強。彼らが一緒に動くとき、もはやメジャーもアングラもなく、自分たちのやりたい音楽を社会に対して独自のやり方で発信(演奏、製作、販売)する手段が揃うわけだ。



『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会


 面白いことに、彼らの関係にはこの手の青春映画でありがちな恋愛要素が一切ない。プレス資料の監督インタビューでは、実は当初、恋愛要素があったことが明かされている。だが、最終的な判断でカットされたらしい。


 この英断がもたらした効果は大きい。3人の最優先事項が常に「音楽」だからこそ、彼らは推進力を損なうことなく、情熱と才能をフル回転していられる。これこそ私たちが見たかった主人公像だ。





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