映画デビュー作でいきなりゴールデングローブ賞を受賞
しかし、本作でも触れられるが、ツイッギーの凄いところはデビューしてたった4年でさっさとモデルを引退し、俳優として新境地を開拓していったこと。それも、単なる腰掛けではなく、本格的に俳優を目指し成功したことだ。
きっかけになったのは、イギリスの作曲家兼作詞家のサンディ・ウィルソンが1953年に発表したミュージカル「ボーイ・フレンド」のリバイバル公演を観て、彼女が旧知の間柄だった監督のケン・ラッセルに話し、ラッセルが映画化に乗り気になったこと。早くからツイッギーの才能を見抜いていたラッセルは、製作を渋る配給元のMGMに対して「3ヶ月くれれば彼女をジンジャー・ロジャースのように踊らせ、ジュディ・ガーランドのように歌わせてみせる」と言い放ってみせた。結果はツイッギーとラッセルの勝ちだった。

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劇中で1920年代のサテンのガウンやドロップウエストのドレスを優雅に着こなし、自ら歌い踊るツイッギーは、1972年のゴールデングローブ賞で新人女優賞とミュージカル・コメディ部門の主演女優賞を獲得する。ケン・ラッセルにとって『ボーイフレンド』は、前作『肉体の悪魔』(71)が巻き起こした論争に対する反論の意味があった。『肉体の悪魔』は暴力や性的な内容を宗教と結びつけてとことん生々しく描いていたために、イギリスとアメリカではX指定を受け、いくつかの国では上映禁止になったいわく付きの映画である。直後に作った『ボーイフレンド』は、ラッセルがミュージカルという真逆の世界を描いて弁明を試みた作品と言われている。
ちなみに、ツイッギーは『肉体の悪魔』の法廷シーンで、銀色のカツラを被った男性の廷臣役でカメオ出演している。そのルックはジェンダーフリーの元祖とも言われる象徴的な出方であり、実はそれが彼女の映画デビューだった。