ブロードウェーデビュー作でトニー賞候補に
ツイッギーの快進撃は続く。1973年にはデヴィッド・ボウイの7枚目のアルバム「ピンナップス」のアルバムジャケットにボウイと共に登場。アルバムのテーマはズバリ、スウィンギング・ロンドンだった。75年にはロイヤル・アルバート・ホールの舞台に歌手として登壇。翌76年には、ポップとカントリーを融合させたオリジナルアルバム「Twiggy」をリリースする。
1980年代を代表する出来事と言えば、ジョージ・ガーシュウィンの名曲で綴るミュージカル「マイ・ワン・アンド・オンリー」で遂にブロードウェー・デビューを果たしたこと。劇中で巧みなダンスと英国訛りの台詞で輝きを放ったツイッギーは、見事トニー賞ミュージカル部門の主演女優賞候補に名を連ねる。舞台は1983年の5月1日にブロードウェーのセント・ジェームズ劇場で幕を開け、1985年の3月3日に楽日を迎える。
ツイッギーはスーパーモデルから映画俳優、そして、ミュージカル俳優という肩書を次々と手に入れ、そのどれでも十分に誇れる足跡を残したのだ。

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ツイッギーの生き方から学び取れるもの(※注!ネタバレ含みます)
本作は、ダスティン・ホフマン、ステラ・マッカートニー、ウディ・アレン(対談相手として登場)等、縁の人々の声を集めながら、イメージ映像は極力使用せず、足早に過ぎ去るドキュメント映画となっている。その映画を見つめながら感じることがある。それは、ツイッギーが作られたアイコンではなく、自分のやりたいことやアイディアを恐れることなく具現化し、出会いを大切にして差別的な意見など意に介さず、一気に走り抜けた完走者だということ。
彼女は今、イギリスの映画監督で俳優でもある最愛の伴侶リー・ローソンと一緒に、ウエストロンドンの邸宅で穏やかな日々を送っている。乳がんの研究をサポートし、動物保護や毛皮反対運動にも目配せしつつ…。本作は過ぎ去った時代の空気感を1人の偶像を利用して呼び覚ますだけでなく、人々に生きる上での知恵を授けてくれる学びの多い1作となっている。
最後にネタバレを1つだけ。ツイッギーはポール・マッカートニー一家と親交があり、ある時、ポールとリンダ・マッカトニー夫妻が暮らしていた広大な私邸にお呼ばれしたことがあったという。ある朝、キッチンで朝食を作ってくれたポールが、ダイニングテーブルに移動して側に座ったかと思うと、目覚ましにビートルズの名曲「ブラックバード」を弾き語ってくれたのだとか。なんという至福。ポールがツイッギーに特別な時間を届けた背景には、2人とも労働種階級の出身で、互いに同じ時代を駆け抜けた強い仲間意識と、労いの気持ちがあったのかもしれない。
アパレル業界から映画ライターに転身。現在、映画com、MOVIE WALKER PRESS、Safariオンラインにレビューやコラムを執筆。また、Yahoo!ニュース個人にブログをアップ。劇場用パンフレットにもレビューを執筆。著書に『オードリーに学ぶおしゃれ練習帳』(近代映画社刊)、監修として『オードリー・ヘプバーンという生き方』『オードリー・ヘプバーン永遠の言葉120』(共に宝島社刊)。
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『ツイッギー』
4月24日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
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