2026.04.13
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キース・ジャレット、伝説のコンサートの舞台裏
キース・ジャレットが1975年1月にドイツ・ケルンのオペラハウスで行ったソロによるライブ、「ザ・ケルン・コンサート」は今も音楽界の伝説として語り継がれている。
76年にアルバムがリリースされると、大きな評判を呼び、世界中で400万枚以上の売り上げを記録。過去のジャズのピアノアルバム、そして、ソロアルバムとしても最高の売り上げとなっている。そして、今に至るまでキースのキャリアにおける代表作のひとつと考えられている。
『1975年のケルン・コンサート』(25)は、そんなキースの歴史的なライブ公演の舞台裏を描いた作品だ。ただ、主役は彼ではなく、このコンサートを主催した18歳の若き女性プロモーター、ヴェラ・ブランデス。当時、ジャズに心酔していた彼女は、ベルリンでキースの生演奏を聞いて衝撃を受け、ケルンでも同じようにコンサートを開きたいと考える。

『1975年のケルン・コンサート』(c) Wolfgang Ennenbach / One Two Films
ただ、そのためには高額の保証金も必要となる。10代の彼女にはとても手の届かない金額だ。歯科医の娘だったヴェラだが、厳格な父親は彼女の活動に否定的。音楽に関した仕事ではなく、歯科医のように堅実な仕事につくことを望んでいる。だから、父親から借りるのは不可能に思える。
しかし、なんとか資金を得ることができて、コンサートの開催に向けて動き始める。ところが、当日になって別の問題が持ち上がる。キースは普段のピアノより鍵盤も多いベーゼンドルファーのインペリアルを希望していたが、会場に置かれていたのは同じベーゼンドルファー製でも、もっと小型のリハーサル用のピアノ。しかも、ペダルもこわれ、ひどい音しかでない。それを知ったキースは激怒し、コンサートに出演できないと言い出す。絶体絶命のピンチ!
ヴェラがどう危機を乗り越え、最終的にはコンサートが実現したのか。そのスリリングな展開が、この映画の後半の見せ場となる。