アナログ・デジタル・自然、3つの時間
監督・脚本のアンドリュー・スタントンは、『ファインディング・ニモ』シリーズや『ウォーリー』(08)などで、人間界とは異なるスケールの世界と時間を扱ってきたフィルムメイカー。本作では、アナログとデジタルの関係だけでなく、『トイ・ストーリー』シリーズではあまり見られなかった“自然”の時間をも新たに持ち込んだ。
ジェシーが連れてこられた昔の持ち主の家に現在暮らしているのは、ブレイズという少女。郊外にある牧場で暮らし、馬や豚たち動物を愛する一方、テクノロジーにも明るい。自分の部屋には馬のおもちゃが並んでおり、今でも時々それらで遊んでいる。
短いスパンで更新され、あっという間に古びてしまうテクノロジーと、世代を超えて受け継がれるアナログのおもちゃ、そして人間やおもちゃとは別のリズムで時が流れる自然。本作ではそれぞれ異なる時間を持つものたちが、人間=子どもたちの世界で、時に重なり、時に対比される。とある場面では、ハイテク・バズたちが旅のなかで山道を闊歩しさえするのだ。

『トイ・ストーリー5』(C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
「いまや、『トイ・ストーリー』は子どもだけのものではない」と冒頭に綴ったように、30年という時間をかけて、このシリーズは現在の子どもと親、さらにその親という3世代が親しむ物語となった。ここではアナログのおもちゃと最新デバイス、そして自然という3つの時間の層が、観客自身の時間にも重なり合うことになる。
映画を観る子どもたちは、リリーパッドも、ジェシーたちおもちゃも、そして動物たちも、等しく同じ生活にあるものとして受け止めながら、ボニーやブレイズの物語に共感するのだろう。またその親たちは、ジェシーのように、子どもが自分の手を離れてゆく時間を映画の中に見出したり、あるいは旧式のデジタルおもちゃに懐かしさをおぼえたりするはずだ。さらに上の世代も、幼い頃に愛したアナログおもちゃの記憶を蘇らせるにちがいない。