時が流れても、変わらないもの
たとえ同じ映画を観ていても、そこに見えるものは必ず異なる。まるで木の年輪のごとく、時が過ぎるほどに厚みを増してきた『トイ・ストーリー』シリーズだが、本作はその厚み自体を捉え返している。複数の時間のなかで、「遊ぶこと」とは何か、おもちゃとデバイスがもたらすコミュニケーションの違いとは何かという、ほとんど哲学のような問いを投げかけるのだ。
その先にあるのは、「時が流れても変わらないもの」とは何なのかという、『トイ・ストーリー』シリーズの根幹にある問いだ。第1作の主題歌であり、シリーズを代表する名曲「君はともだち(You've Got a Friend in Me)」では、「それは俺たちの絆」すなわちおもちゃと持ち主の絆だと歌われているが、本作はそこにも新たな回答を与えている。

『トイ・ストーリー5』(C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
時が流れ、持ち主が成長しても変わらないものを歌った「君はともだち」に対し、『トイ・ストーリー5』が語るのは、時が流れ、世界が大きく変わっても変わらないものの定義だ。本作はアナログとデジタルを対決させることも、テクノロジーの手からおもちゃを取り戻すこともしない。デバイスを単なる悪にせず、人々が画面を見つめる時間の長さをただ嘆くのでもなく、子どもたちに必要な役目はそこにも必ずあるのだと示唆する。
これから先、テクノロジーが当たり前のように存在する世界で、子どもたちは自分たちのやり方で遊び、時間を過ごし、他者との関係を築いてゆくことになる。そこにはきっと、現在の大人たちが思いもしないようなイマジネーションが広がっているはず――この映画が最後に見つめるのは、ほかならぬその希望である。
文:稲垣貴俊
ライター/編集者。主に海外作品を中心に、映画評論・コラム・インタビューなどを幅広く執筆するほか、ウェブメディアの編集者としても活動。映画パンフレット・雑誌・書籍・ウェブ媒体などに寄稿多数。国内舞台作品のリサーチやコンサルティングも務める。
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配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.