1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ハートに火をつけて
  4. 『ハートに火をつけて』脂の乗った時期のジョディ・フォスター主演、いわくつきの迷作(?)
『ハートに火をつけて』脂の乗った時期のジョディ・フォスター主演、いわくつきの迷作(?)

(c)Photofest / Getty Images

『ハートに火をつけて』脂の乗った時期のジョディ・フォスター主演、いわくつきの迷作(?)

PAGES


あの人も、この人も、本作の直後にブレイク



 ホッパーはアーティスティックな感性にこだわり妥協しなかった。そういう意味では、本作の中にちょっと面白いシーンがある。現代アートを理解できないマイロは、アンに「チャーリー・パーカーやバッハは芸術だ。だが、君の作品は違う。ただの電光掲示だ」と、老害きわまりない暴言を吐き、ふたりの関係を危機に陥れる。ホッパー自身がアートに造詣が深かく、理解もあったことを思うと、この場面はジワッと笑えてくる。


 また、何気に豪華キャストである、というもうひとつの見どころ。当時は無名だったが後に大ブレイクする俳優が多数出演しているのだ。筆頭はクレイジーでノイジーなギャングのボスを演じたジョー・ペシ。翌年、彼が『グッドフェローズ』(90)でアカデミー助演男優賞を受賞して脚光を浴びたのはご存じのとおり。また、その若い手下をコミカルに演じたジョン・タトゥーロは、翌年に主演したコーエン兄弟のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『バートン・フィンク』(91)で注目された。さらにトラック運転手の助手役にふんしたキャサリン・キーナーは、後に2度のアカデミー賞候補になる。



『ハートに火をつけて』(c)Photofest / Getty Images


 他にも映画ファンが観れば、おっ!と思うキャスティングがなされている。チョイ役に過ぎないアンの恋人役を、当時大スターだったチャーリー・シーンが務めたのは意外といえば意外。ギャングの元締め役にふんして貫禄を示したベテラン、ヴィンセント・プライス、マフィアの弁護士にふんした『ブルー・ベルベット』のホッパーの盟友ディーン・ストックウェル、マフィア逮捕の情熱を抑えられないFBI捜査官を演じる『ライトスタッフ』(83)のフレッド・ウォードも、それぞれにいい味を出している。さらに、アンの知人の前衛芸術家にボブ・ディランがふんしていることも驚きのポイントだ。完成した映画は残念なことになったが、いずれにしても彼らがホッパーの才腕を信頼していたのは間違いない。


 最後にジョディ・フォスターについても少しふれておきたい。本作こそ不完全燃焼の結果に終わったが、すぐに次なる意欲的なプロジェクに進む。翌年には『リトル・マン・テイト』(91)で念願の映画監督デビュー。さらに『羊たちの沈黙』では2度目のアカデミー主演女優賞に輝き、当代随一の女優といわれる存在となった。1980年代後半~1990年代前半は、まさに彼女の脂の乗った時期。その中で生まれた『ハートに火をつけて』は、あだ花だったのだろうか? 答は映画を観て、見つけて欲しい。



文:相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



『ハートに火をつけて』を今すぐ予約する↓




作品情報を見る



『ハートに火をつけて』

ジョディ・フォスター フランス映画初主演作『プライベート・ケース』 公開記念

ヒューマントラストシネマ有楽町にて7月23日(木)まで期間限定上映中


『プライベート・ケース』

7月24 日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

配給:スターキャットアルバトロス・フィルム

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ハートに火をつけて
  4. 『ハートに火をつけて』脂の乗った時期のジョディ・フォスター主演、いわくつきの迷作(?)