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『PEACOCK/ピーコック』色彩を越え、失われた個性を取り戻すまでのユーモラスな軌跡

© 2024 NGF GEYRHALTERFILM CALA FILM ZDF/ARTE

『PEACOCK/ピーコック』色彩を越え、失われた個性を取り戻すまでのユーモラスな軌跡

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全てを決定づける終盤の見事な流れ



 結局のところ、本作が目指すのはピーコックでもカモでも、七色でも褐色でもない。これはいわば色彩の下に覆い隠された本来の姿を探し求める、終わりなき旅なのだ。


そのために用意された終盤の一幕があまりに秀逸。説教くさい主張など微塵も感じさせることなく、ただただ言葉を失い、笑いがこみ上げ、なおかつハッとさせられる展開の数々が我々の胸を鷲掴みにする。



『PEACOCK/ピーコック』© 2024 NGF GEYRHALTERFILM CALA FILM ZDF/ARTE


 承認欲求やアイデンティティの崩壊を経て、やがて深淵とも呼ぶべき結末へとたどり着くこれらの流れは、まるで一人の人間の生まれ変わりの瞬間を見つめているかのよう。レンタルサービスという特殊な現実の物語を、これほどの自己解放のカタルシスへと昇華させられる手腕は大したものだ。


 ヨーロッパ映画的な悲喜劇性、イギリス映画的なシニカルなユーモア、リューベン・オストルンド的なシュールかつ本質を突く状況設定を兼ね備えながら、そのどれにも属さない人間味や親密さすら加味して全てを巧みに織り上げたベルンハルト・ウェンガー監督を心から讃えたい。



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。




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『PEACOCK/ピーコック』

ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺 ほか全国順次公開中

配給:カルチュアルライフ

© 2024 NGF GEYRHALTERFILM CALA FILM ZDF/ARTE

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