©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
『レンタル・ファミリー』ブレンダン・フレイザーと珠玉のキャスト、そして東京の街が心の隙間を埋めていく
2026.03.05
最初に告白しておくと、本作のトレーラーを初めて見た時、「またも”ヘンなニッポン”満載の映画なのだろうか…」という不安が込み上げた。頭の中を『ロスト・イン・トランスレーション』(03)や『キル・ビルVol.1』(03)などの記憶が駆け巡る。決して嫌いじゃないが、これらの作品におけるフィルター越しの日本を前に、いまだどんな表情をしていいのかわからなくなる時がある。
だが結論から言って、『レンタル・ファミリー』は私のちっぽけな不安を春風のように払拭してくれた。躊躇している人も、冒頭のほんの5分、身を委ねてみてほしい。母国から遠く離れて暮らす主人公と東京の街並みがほのかに瞬き合う光景に、自ずとふうっと感銘の溜息がこぼれるはずだから。

『レンタル・ファミリー』©2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
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奇妙なビジネスが転機をもたらす
アパートの一室に暮らす彼の名はフィリップ(ブレンダン・フレイザー)。来日7年目のアメリカ人俳優で、当初は歯磨き粉のCMで人気を博したものの今は鳴かず飛ばず。それでも果敢に端役のオーディションを受け続ける日々。ある日、そんな彼のもとに「悲しげなアメリカ人役」というオファーが届く。
指定された会場に駆けつけると、そこでは誰かの葬儀の真っ最中。何かの撮影だろうか?いや、どうも様子が変だ。よく見ると棺桶の中の当人は生きていて、皆の弔辞に聞き耳を立てながら咽び泣いている。つまり、これは葬儀のシミュレーションのようなもの。自分の葬儀で悲しんでくれる人々の姿を見つめることで、依頼者は自分の存在意義を確かめようとしているのだろう。不思議で特殊な日本文化の一端といったところか。
その葬儀の参列者の手配に一役買った多田(平岳大)という男に「レンタル・ファミリー会社で働いてみないか?」と持ち掛けられたことで、フィリップの人生は大きな転機を迎えるのだが…。