©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
『レディ・オア・ノット2』世界観を拡張させ突き進む、ブラックな遊び心満載の“かくれんぼ”
2026.08.20
姉妹の共闘がもたらす感情の変容
私は先ほど、一作目から観ても、二作目から観ても、どちらからでも楽しめる、と書いた。それはひとえに前作が続編など全く想定せずに制作されており、ハングオーバー的な展開が何も残らないまま、物語がひとまず完結しているから。二作目に関しても前作の伏線を引っ張るわけではなく、ストーリーとして完結しているので、置いてけぼりを食らうことはまずない。
「Radio Silence」というデュオ名を名乗る二人の共同監督や、これまたコンビで活動する脚本家チーム、およびプロデューサー陣が、続編構築にあたり大切にしたのは「物語の感情的な核心」だという。つまりこの場合、主人公の感情の変化を言うのだろう。今なお素性に謎めいた部分のあるグレースだが、それでも観客が応援せずにいられないのは、こういった理不尽な戦いの中で感情をうねらせ、逞しく成長する姿を見せつけてくれるからだ。

『レディ・オア・ノット2』©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
その意味でも、今回は真逆とも言える性格を持つフェイスとの関係性こそが全ての原動力となり、起爆剤となる。自分だけでなく妹の存在があるからこそ、グレースは決して敗北することが許されないし、二人の「ただ、生き延びたい」とする想いは、5つの一族の「支配の座」を巡る欲望にまみれた競い合いとの間に強烈なギャップを生む。数で劣るグレース&フェイスに勝つ見込みがあるとすれば、ひとえに目的の純度の高さと、さらに反目し合う二人の結束力の高さが鍵を握るのは間違いない。
聞くところによると、グレースの相棒を誰にするかを巡っては、作り手の中でいくつものシミュレーションが重ねられた。例えば、警官、里子として育ったきょうだい、友人、はたまた、親に反抗的な一族の娘が裏切ってグレース側につく…といった具合に。その中で監督デュオの『アビゲイル』(24)で飛び抜けた存在感を見せたキャスリン・ニュートンを投入して、主演のサマラと組ませるアイディアが大きな転機をもたらし、二人をつなぐものとして「姉妹」という設定が生まれたという。
これにより、前作では愛し合って結婚した男女の関係性が瞬く間に解体されていく「アンチラブストーリー」だったものが、今作では、反目しあう姉妹が次第に信頼と愛情を取り戻し、弧を描いて「(姉妹としての)ラブストーリー」へ帰結していく躍動的な流れが生まれた。主人公の感情と物語はこうして反響し、熟成され、深化を遂げながら構築されていったのである。