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『八つ墓村』清水崇はいかにして呪いをアップデートしたか ※注!ネタバレ含みます

©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo Seishi/KADOKAWA

『八つ墓村』清水崇はいかにして呪いをアップデートしたか ※注!ネタバレ含みます

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オカルト・ホラーとしての野村芳太郎版



 名実ともに、野村芳太郎版は『八つ墓村』の決定版だ。しかし実際のところ、この野村版は原作から大きく逸脱する大胆な改変が施されている。


 野村芳太郎監督と名脚本家・橋本忍が仕掛けたのは、謎解きの純度が比較的薄い原作を逆手にとって、オカルトホラーへと全振りする大勝負だった。当時、ライバルの東宝は市川崑監督×石坂浩二コンビによる「金田一シリーズ」がヒットを連発。同じミステリーの枠組みで勝負すれば確実に埋没すると踏んだ橋本は、土俗性と怨念というオカルト要素を前面に押し出す選択をする。


 彼の創作ノートには、「映画は絶対、原作に依りかかってはいけない」(*1)という一節がある。この極端なアプローチの裏には、橋本によるプロデューサー的戦略があったのだ。さらに彼らは、時代設定を原作の昭和20年代から映画製作当時の1970年代へと強引に移し替える。冒頭とラストに巨大なジェット機の離着陸を映し出すことで、高度経済成長を経た近代的な社会と、前近代的な因習村とのギャップを視覚的に際立たせたのだ。



『八つ墓村』©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo Seishi/KADOKAWA


 そして野村版は、とにかく質よりも量。登場人物が出会った瞬間から次々と命を落としていく。主人公・辰弥の祖父である丑松は突如もがき苦しんで絶命、兄の久弥は薬を飲んで即死、小学校の校長までもが法事の席でサドンデス。異母姉の春代も、医師の久野も、バタバタと絶命。この怒涛の連続死が、151分という長尺を飽きさせない。


 結果的にこの野村版は、製作費7億円、製作期間2年3ヶ月を投じた超大作として公開され、配給収入19億8600万円という松竹映画史上に残るメガヒットを記録する。濃茶の尼の「祟りじゃーっ!」という絶叫は、社会現象を巻き起こした。


 清水崇が今回挑んだのは、そんな伝説的作品の再映像化。これほど巨大な過去作が存在する以上、どのようなアプローチをとろうとも必ず野村版と比較され、賛否が巻き起こることは避けられない。清水自身もインタビューでその重圧を認めつつ、「どんな監督がどんなアレンジをして、どんなキャスティングで行こうとも、賛否両論になるのは目に見えていた」と覚悟を語っている。


 11度目の『八つ墓村』は、この逃げ場のないプレッシャーを正面から引き受ける監督の決意から始まっているのだ。





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