1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. バイオハザード
  4. 『バイオハザード』父親になるのが怖い男の「はじめてのおつかい」 ※注!ネタバレ含みます
『バイオハザード』父親になるのが怖い男の「はじめてのおつかい」 ※注!ネタバレ含みます

『バイオハザード』父親になるのが怖い男の「はじめてのおつかい」 ※注!ネタバレ含みます

PAGES


まぎれもない“ザック・クレッガー映画”



 実際、劇中のブライアンは驚くほど子どもっぽい。パニックシーンでは、まさにケビンばりに情けなく取り乱す。屋上からダイブしてくる感染者の群れを駆け抜けたあと、彼は危険が去ったことにも気づかず、赤ん坊のように金切り声を上げ続けていた。しかもこの悲鳴、撮影現場で録ったものではなく、編集段階でわざわざ探し出してハメ込んだテイク(*6)。作り手は確信犯的に、主人公を“赤ちゃんの声”へと押し戻しているのだ。


 カラダは否応なく作り変えられていくのに、声は赤ん坊へと逆戻りしていく。父親になろうとする男と、子どものままの男がひとつのカラダの中でせめぎ合うとは、まさにこういうことだ。



『バイオハザード』


 荷物を抱えて、ひとりで目的地まで届ける。考えてみれば、このミッション自体が子どもの通過儀礼そのもの。これは、ラクーンシティを舞台にした地獄の「はじめてのおつかい」でもある。


 しかも、そのおつかいの行き先は病院。英語のdeliveryには、「配達」と「出産」というふたつの意味がある。子どものままの男が、ひとつの命を抱えて病院を目指す。そう、この映画は最初から最後まで、病院へのデリバリーの物語なのだ。そしてこのダブルミーニングは、終盤、思いもよらないカタチで回収されることになる。


 結局のところ、「原作に忠実かどうか」という問いは、この映画の前ではあまり意味をなさない。クレッガーがスクリーンに持ち込んだのは、レオンでもアリスでもなく、父親になりきれない、ごく普通の男の不安だった。巨大フランチャイズの看板を背負いながら、ここまで作家の主題を貫き通した作品は珍しい。


 『バーバリアン』、『WEAPONS/ウェポンズ』、そして『バイオハザード』。家族という名の怪物を、外から内へと引きずり込んできたクレッガーのフィルモグラフィーは、本作でひとつの到達点を迎えた。これは“バイオハザード映画”である以前に、まぎれもなく“ザック・クレッガー映画”なのだ。


(*1)https://dreadcentral.com/news/587650/zach-cregger-says-hell-never-make-another-franchise-movie-after-resident-evil

(*2)https://www.empireonline.com/movies/news/zach-cregger-resident-evil-is-a-zach-cregger-movie-that-happens-to-be-resi-exclusive/

(*3)(*5)『バイオハザード』プレス資料

(*4)(*6)https://www.youtube.com/watch?v=S_oDmV2ibw0



文:竹島ルイ

映画・音楽・TVを主戦場とする、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」(http://popmaster.jp/)主宰。



今すぐ観る


作品情報を見る



『バイオハザード』

大ヒット上映中

配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. バイオハザード
  4. 『バイオハザード』父親になるのが怖い男の「はじめてのおつかい」 ※注!ネタバレ含みます