1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ディスクロージャー・デイ
  4. 『ディスクロージャー・デイ』信じるから、見える。スピルバーグがSF大作に込めた信仰 ※注!ネタバレ含みます
『ディスクロージャー・デイ』信じるから、見える。スピルバーグがSF大作に込めた信仰 ※注!ネタバレ含みます

© Universal Studios. All Rights Reserved.

『ディスクロージャー・デイ』信じるから、見える。スピルバーグがSF大作に込めた信仰 ※注!ネタバレ含みます

PAGES


※本記事は物語の核心に触れているため、映画未見の方はご注意ください。



『ディスクロージャー・デイ』あらすじ

気象キャスターのマーガレットとサイバーセキュリティのエキスパート、ダニエル。接点のないはずの二人が衝撃的な機密情報を知ることとなった。やがて、その秘密を明らかにする使命を負った彼らの前に謎の組織が立ちはだかる――。


Index


ディズニーの申し子、スピルバーグ



 信じるなら、手を叩いて。


 『E.T.』(82)で、母親が幼い娘に「ピーター・パン」を読み聞かせる場面がある。毒を飲み、命の灯が消えかけた妖精ティンカー・ベル。彼女を救う方法はただひとつ、妖精を信じる子どもたちの拍手だけだ。母親は「信じるなら、手を叩いて」と娘に語りかけ、娘は小さな手で懸命に拍手を送る。そのやりとりを、クローゼットに隠れたE.T.がじっと聞いている。そしてE.T.自身も、やがて一度息絶え、奇跡のように蘇ることになる。


 信じれば、死者だって蘇る。スティーヴン・スピルバーグは、恐怖や喪失を何度も描きながら、最後には必ず「それでも信じること」へと戻ってくる映画作家だ。その原点にあるのは、ディズニー映画の記憶である。


 始まりは、幼い頃に映画館で観た『白雪姫』(37)。リバイバル上映で観たこの映画を、スピルバーグは「今でも、あの頃と同じくらい鮮明に覚えている」と語る(※)。震え上がるほど怖かった。なのに、あのラストには胸がいっぱいになった。テレビの「ミッキーマウス・クラブ」に夢中になり、父に連れられてディズニーランドへ出かける。少年スピルバーグは、まさにディズニーの申し子だった。



『ディスクロージャー・デイ』© Universal Studios. All Rights Reserved.


 そんな少年が大人になって撮ったのが、『未知との遭遇』(77)。スピルバーグは、この映画のアイデアの源として、子ども時代のふたつの映画体験を挙げている。ひとつは、『ファンタジア』(40)の「はげ山の一夜」に出てくる不気味な山。これが、あのデビルズ・タワーになった。そしてもうひとつが、『ピノキオ』(40)でジミニー・クリケットが歌う「星に願いを」だ。


 実は当初、マザーシップが夜空へ昇っていくラストでは、この歌がまるごと一曲流れる予定だった。撮影中にはもうレコードの使用権まで押さえていて、出演者たちに嬉々としてステレオで聴かせていたという。結局、歌そのものはカットされたが、ジョン・ウィリアムズの音楽には、その旋律がこっそり織り込まれている。つまり『未知との遭遇』とは、UFO映画の皮を被った、おとぎ話への信仰告白だったのだ。


 その後もスピルバーグは、おとぎ話を撮り続けた。『フック』(91)では、大人になったピーター・パンを描いた。『A.I.』(01)は、人間の子どもになりたいロボットが青い妖精を探して旅をする、どこからどう見てもピノキオの物語。そして、あらゆるスタジオで映画を撮ってきた彼が、ディズニーの看板を背負って初めて監督したのが、『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(16)。映画の最初と最後に眠れる森の美女の城が映るのが誇らしいと、まるで子どものように喜んでみせた。


 願えば叶う。信じれば、奇跡は起きる。そして忘れてはいけないのは、彼がおとぎ話と出会った場所が、絵本のページではなく、映画館の暗闇だったということだ。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. ディスクロージャー・デイ
  4. 『ディスクロージャー・デイ』信じるから、見える。スピルバーグがSF大作に込めた信仰 ※注!ネタバレ含みます