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『ダイヤルMを廻せ!』ヒッチコックは意外にも新技術好きだった!?

『ダイヤルMを廻せ!』ヒッチコックは意外にも新技術好きだった!?


舞台演出との違い、色彩設計、カメラによる制約など



 そもそもこの映画の原作は、フレデリック・ノットの戯曲「Dial M for Murder」(12)である。ヒッチコックには、舞台劇の映画化に関して「ステージ上の制約を取り払わない」という方針(4)があった。つまり、映画的に自由に場面を切り替えて発展させてしまうことにより、本来舞台劇が持っていた緊張感が失われてしまうという考え(*10)である。従ってカメラが主人公の部屋を出ることを必要最小限に抑え、1カットを長めにすることで、舞台上の緊張感を維持している。そして狭い室内という制約を逆手に取り、3D映画としての特色を出すために、とことん構図による工夫をしていたのである。




 また構図以外にも、映画前半のマーゴの衣装や法廷シーンの背景などに、彩度の高い赤色を選んでいる。これは、後半でマーゴの服装を地味にすることで、彼女の心の変化を色で表現したものだ(こういった色彩による心理描写は、『めまい』の随所に用いられている緑色でも効果を上げている)。


 さらに有名な電話器のダイヤルを回す指の描写では、ワーナービジョン2号機でのクローズアップ撮影が不可能(*11)だったことから、たった1カットのために巨大なプロップ(造形物)まで作らせている。


*10 この考えを極端に推し進めた作品が『ロープ』だったが、全編疑似1カット表現にこだわり過ぎて、作為的になってしまったことの反省から、『ダイヤルMを廻せ!』では普通にカット割りを行っている。


*11 カメラ2台を用いるステレオ撮影では、各レンズが作る2つの視点ピラミッドの重なったエリアしか立体視できない。そのためクローズアップで小さな物を撮影しようとすると、死角に入ってしまうことがある。現在では、単眼撮影でリレーレンズにおける平行光領域から左右の視差を取り出す技法も開発され、ネイチャードキュメンタリーなどで使用されているが、この当時はなかった。



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