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岩井俊二監督の初期代表作『スワロウテイル』をいま観るべき理由とは

岩井俊二監督の初期代表作『スワロウテイル』をいま観るべき理由とは

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フィルモグラフィーを貫くアウトサイダーの視点



 映画の舞台は、通貨の円が世界で最も強い時代(映画の公開よりも少し前のバブル期を思わせる)、各国から一攫千金を夢見てさまざまな人種が集まる街「円都(イェンタウン)」。そんな彼らを日本人はさげすんで「円盗(イェンタウン)」と呼ぶ。少しややこしいが、イェンタウンは移民街の呼び名であり、移民の蔑称でもある。


 『スワロウテイル』は、この架空の街・円都で成功や幸福を求めて生きる流れ者たちの物語だ。中国や東南アジアの都市を思わせる大がかりなセットで、登場人物たちは日本語、英語、中国語を混ぜて会話する。無国籍風の世界観と大胆に展開していくストーリーを、前年の1995年に『Love Letter』で長編映画デビューを果たしたばかりの岩井監督が、自身の小説を原作に映像化したという、そのスピード感とスケールと熱量に圧倒されるしかない。




 リアルな日本の土地を舞台に、主人公を含む主要な登場人物たちに日本人を配して物語を紡ぐ作品が多い岩井監督のフィルモグラフィーにおいて、『スワロウテイル』は一見、特異な存在のようにも思える(カナダでロケを行い、蒼井優を除く全キャストに外国人を起用した『ヴァンパイア』は目立つ例外だが)。


 だが、初期代表作の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『Love Letter』から2016年の『リップヴァンウィンクルの花嫁』に至るまで、世間の常識に違和感を覚えたり、メインストリームの価値観に馴染めなかったりするキャラクターたちを創造し、オルタナティブな視点を提示する点は一貫している。主流から異物と見なされ、排除される対象をアウトサイダーとするなら、「アウトサイダーから見た世の中ってこうですよ」と異議を唱え続けていると言ってもいい。岩井監督が持つそうしたアウトサイダー感覚が、移民=円盗という形で具現化したのが『スワロウテイル』なのだ。



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