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ロマン・ポランスキーが『ローズマリーの赤ちゃん』に込めた、日常の中に潜む底知れぬ恐怖とは ※注!ネタバレ含みます。

Copyright (C) 1968 Paramount Pictures Corporation and William Castle Enterprises, Inc. All Rights ReservedTM, (R) & Copyright (C) 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ロマン・ポランスキーが『ローズマリーの赤ちゃん』に込めた、日常の中に潜む底知れぬ恐怖とは ※注!ネタバレ含みます。

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ローズマリーの心理を代弁する不安な音楽



 少しだけおどろおどろしいのは、ポランスキーとは『水の中のナイフ』(62)で組んだことがあるポーランドの作曲家兼ピアニストのクシシュトフ・コメダが要所要所で奏でる、不安を助長する捻れたようなメロディだろう。だがそれすら、観客を脅そうとする映画音楽とはまるで違って、恐怖から必死に逃れようとするローズマリーの心理を代弁している。主演女優ミア・ファロー自らが歌うスキャットの物悲しい響きは、逆説的に生々しいかもしれない。


 唯一、血走った悪魔の目だけが特殊撮影と言えるものだろうか。だからこそ、ラストでもたらされる衝撃の真実が作り物とは思えなくなるのだ。見終わってハイ終わりではなく、映画館を出た先に広がる一見のどかな日常にまで、しつこく恐怖が追いかけてくる。『ローズマリーの赤ちゃん』とはそんな作品である。



ポランスキーvsカサベテスのバトル勃発



 キャスティングがこれまた凄い。魔族を演じる俳優たちは、ほぼ全員、ポランスキーが絵コンテに描いた人物とそっくりな人々が選ばれた。彼らは古き良きハリウッド映画を生きたベテランたちだ。見た目は少し常識を逸脱し、その実、この世の者ではない怪しいムードと熟練の演技が、映画の世界観に大きく貢献している。中でも、ミニーを演じるルース・ゴードン(この演技でアカデミー助演女優賞を獲得)の、ど派手で下品なおしつけ演技が秀逸だ。ローズマリーとガイを初めて食事に招く場面での、えげつない動きは爆笑ものだが、すべてはポランスキーの指示通りである。



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 監督は同じく演出に忠実な演技を、ガイ役のジョン・カサベテスにも要求するが、母校のアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツで自然発生的な演技法を学んだカサベテスは、ことごとく監督に反発。しかし、ミア・ファローによると、2人の間に生まれた確執が独特の緊張感を生み、返って場面に緊張感が生まれたのだとか。



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