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アメリカン・ニューシネマの夜明け前。ロジャー・コーマン×ピーター・フォンダ『ワイルド・エンジェル』

アメリカン・ニューシネマの夜明け前。ロジャー・コーマン×ピーター・フォンダ『ワイルド・エンジェル』


“コーマン・スクール”が世に送り出した卒業生たち



 この映画の成功によって、フォンダはコーマンが製作・監督を担当した次作『白昼の幻想』(67)にも主演。ドラッグを体験するテレビ・プロデューサー役を演じた。この作品、共演はデニス・ホッパー、脚本はジャック・ニコルソンと、後に『イージー・ライダー』で組む3人の作品でもある。『ワイルド・エンジェル』と『白昼の幻想』が合体することで、結果として、衝撃作『イージー・ライダー』が産声を上げたのだ(最初、コーマンのもとに、この映画の企画も持ち込まれたそうだが、結局、別の会社で製作された)。


 『ワイルド・エンジェル』には『帰郷』(78)や『ネブラスカ』(13)でオスカー候補となった演技派、ブルース・ダーン、彼のパートナーで、『ワイルド・アット・ハート』(90)等でオスカー候補となるダイアン・ラッドも出ている(ふたりの娘はローラ・ダーンで、若い頃のラッドは娘とそっくり!)。さらに『俺たちに明日はない』のC・W・モス役のマイケル・J・ポラード等、後に映画界で活躍することになる俳優たちが顔をそろえている。




 助監督は『ラストショー』(71)を撮ることになるピーター・ボグダノヴィッチ、編集は『断絶』(71)のモンテ・ヘルマンが担当。音楽はMGMレコードの社長となるマイク・カーブ。スタッフたちにも、コーマンの発見が反映されている。


 約50年間で500本以上の映画を作ったコーマンは多くの若き映画人たちに現場のチャンスを与え、製作者として彼らを育ててきた。


 そんな“コーマン・スクール”の出身者には、フランシス・コッポラ(『ゴッドファーザー』(72)シリーズ)、マーティン・スコセッシ(『タクシー・ドライバー』(76))、ジェームズ・キャメロン(『ターミネーター』(84))、ジョナサン・デミ(『羊たちの沈黙』(91))、ロン・ハワード(『アポロ13』(95))、俳優のロバート・デ・ニーロ、シルベスター・スタローンなどがいる。


 彼は弟子たちの後押しもあり、2009年にまさかのアカデミー名誉賞を受賞した(ちなみに素顔の彼は知的な紳士で、声優、若山弦蔵を思わせる渋い喋り方をする)。


 半世紀前に作られた『ワイルド・エンジェル』は、どこかお安い感覚の骨董品だが、一方、デヴィッド・リンチ監督の『ワイルド・アット・ハート』(90)(前述のローラ・ダーン主演)、タランティーノ映画、さらにイギリスの不滅の青春映画『さらば青春の光』(79)などとの共通点も見出せる気がした。


 骨董市で手にして、自分だけのひそかな楽しみ方を見つけてニッコリ。そんな気分に浸れる一本かもしれない。



文:大森さわこ

映画ジャーナリスト。著書に「ロスト・シネマ」(河出書房新社)他、訳書に「ウディ」(D・エヴァニアー著、キネマ旬報社)他。雑誌は「週刊女性」、「ミュージック・マガジン」、「キネマ旬報」等に寄稿。ウエブ連載をもとにした取材本、「ミニシアター再訪」も刊行予定。( http://www.gei-shin.co.jp/comunity/18/act19.html



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『ワイルド・エンジェル』

Blu-ray:¥4,800+税 

発売・販売元:キングレコード  

THE WILD ANGELS (c) 1966 Orion Pictures Distribution Corporation. All Rights Reserved.

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