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アメリカン・ニューシネマの夜明け前。ロジャー・コーマン×ピーター・フォンダ『ワイルド・エンジェル』

アメリカン・ニューシネマの夜明け前。ロジャー・コーマン×ピーター・フォンダ『ワイルド・エンジェル』


アメリカが揺れ動いた60年代後半の新しい価値観



 この映画が全米で公開された66年はアメリカの時代の変わり目だった。ベトナム戦争が本格化することで、若者たちは親の世代を否定的に見るようになり、自由を求め、自分たちなりの新しい価値観を築こうとした。反戦運動が始まり、学生運動や公民権運動など、既成の価値観を一新する動きが起こる中で、映画で描かれる青春像も変わっていく。


 映画界の大きな分岐点となったのは67年に『俺たちに明日はない』が誕生した時で、ハッピーエンドがお約束事だった既成のハリウッド映画のルールが破られ、主人公たちが壮絶な死を迎える青春映画の誕生によって、映画の流れが変わる。


 <アメリカン・ニューシネマ>という言葉がハリウッドに誕生したのは『俺たちに明日はない』が生まれた時からだが、『ワイルド・エンジェル』はその1年前にすでに誕生している。


 劇中で主人公が保守的な牧師に向かって、「俺たちは自由が欲しいんだ!」と叫ぶ場面に当時の若者の気持ちが出ている。この時代、自由と解放を求めて、多くの若者たちが自分探しをしていたからだ。




 ちなみに映画のタイトルは、暴走族映画の元祖といわれる53年のマーロン・ブランド主演のバイクムービー『乱暴者(原題:ワイルドワン)』と実在の暴走族、ヘルス・エンジェルスをかけあわせて、『ワイルド・エンジェル』とつけられたようだ。


 アメリカで71年に刊行された青春映画の研究書”Rebels:The Rebel Hero in Films”(ジョー・モレラ、エドワード・Z・エプスタイン著、サイデル・プレス刊、日本未翻訳)によると、この作品は「商業主義のバイク映画の古典となり、他の映画も作られた。その結果、一部の若者にとって、アングラ感覚の大衆文学のようなものとなった」と書かれている。


 ちなみに他の映画とは、ジャック・ニコルソン主演のバイク映画『爆走!ヘルス・エンジェルス』(67年、日本ではビデオのみ、監督リチャード・ラッシュ)等であった。



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