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『ミッドナイトクロス』タランティーノも絶賛する、ブライアン・デ・パルマの偉大で重要な傑作

『ミッドナイトクロス』タランティーノも絶賛する、ブライアン・デ・パルマの偉大で重要な傑作


併せ持つポリティカル・スリラーの側面



 『殺しのドレス』(80)でサウンドミックスをしているときに、デ・パルマは『ミッドナイトクロス』の物語のコンセプトを思いついたと語る。「『殺しのドレス』のミキシング時、音響担当にこう訴えた。木の葉の音を何とかしろ、使い回すな。すると彼は新しい音を録ってきたんだ。主人公が川で録音した音が殺人事件の鍵となるのはそこから生まれた」。


 フィラデルフィアの映画制作会社に勤める録音技師ジャック・テリー(ジョン・トラボルタ)は低予算ホラー映画の殺人場面で使える理想的な女性の叫び声が見つからず悩んでいた。ある夜、新しい作品のために彼は橋の上で、フクロウやカエルの鳴き声など自然の音を録っていると、偶然にも自動車事故の音を拾い上げてしまう。車のタイヤの破裂する音で静寂が破られると、ジャックは川に飛び込み、水没した車内に閉じ込められた少女サリー(ナンシー・アレン)を救出する。




 その後、死んだ運転手の男は次期大統領候補の州知事だったことが判明する。彼の関係者は、ジャックにコール・ガールのサリーが同乗していたことを口外しないよう頼み込む。しかし事故のテープを聞き直し、タイヤがパンクする直前に銃声が聞こえることを確信したジャックは、事故を目撃した写真家のマニー・カープ(デニス・フランツ)が撮った写真と音を照合することで、事故ではなく殺人事件だと思い至る。


 このように物語が展開するにつれ、有望な候補の台頭を阻止するための暗殺が行われたという政治的陰謀が浮上するのである。本作は、ポリティカル・スリラーの側面を持っていると言えるだろう。



デ・パルマとナンシー・アレン



 「もともと男性役にはアル・パチーノやリチャード・ドレイファス、女性役にはアン=マーグレットやダイアン・キャノンが想定されていた」とトラボルタは1981年に語っているが、主役にはデ・パルマの大ヒット作『キャリー』(76)で不良カップルを演じたジョン・トラボルタとナンシー・アレンがキャスティングされた。『キャリー』で出会ったデ・パルマとアレンは79年に結婚。以降、デ・パルマは妻であるアレンを『悪夢のファミリー』(80)『殺しのドレス』『ミッドナイトクロス』と3作連続で娼婦役として出演させた(83年に彼らは離婚し、現時点で本作がふたりの最後の作品となっている)。


 「元妻ナンシーとは『キャリー』で出会い、『フューリー』(78)のときに交際を始めた。『殺しのドレス』でも彼女のために役を作った。彼女と映画を作るのに飽きた頃、私たちの夫婦関係は歪んでいった。しかしトラボルタは彼女を気に入っていた。『ミッドナイトクロス』にトラボルタが出演を表明したことで製作費が一気に跳ね上がったのには驚いた」とデ・パルマは振り返っているが、当時の大スターだったトラボルタの参加によって、予算は当初の300万ドルから1,800万ドルに跳ね上がったという。



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