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『COLD WAR あの歌、2つの心』モノクロ・スタンダードサイズに込めた、管理社会下の「愛」の姿

『COLD WAR あの歌、2つの心』モノクロ・スタンダードサイズに込めた、管理社会下の「愛」の姿


 60年代初頭のポーランドを舞台に、修道院で育てられた少女の旅を描いた『イーダ』(13)によって、ポーランド映画初となるアカデミー賞外国語映画賞をはじめ、世界中で様々な賞を受賞した、パヴェウ・パヴリコフスキ監督。その次なる作品となった本作『COLD WAR あの歌、2つの心』もまた、世界で多くの賞を受賞した映画である。


 ここまで両作が評価された理由には、歴史的な問題を扱っている以外に、共通したある種の“美しさ”を獲得しているためであろう。ここでは、本作を美しさを与えている様々な理由を解き明かしていきたい。


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説明を極力排するスマートな構成



 本作の舞台の出発点となるのは、50年代、冷戦下のポーランド。トマシュ・コット演じるピアニストのヴィクトルと、ヨアンナ・クーリクが演じる歌手志望のズーラは、ポーランドの音楽舞踏学校で出会い、惹かれ合うようになっていく。政府からの干渉が強まっていくポーランドから亡命したヴィクトルと、プロの歌手となったズーラは、パリ、そしてユーゴスラビアで再会し、激しく愛を交わしていく。



 本作の特徴のひとつは、この物語が何を描いていくのかというのを、説明も暗示もさせないまま進んでいくという部分だ。音楽舞踏学校でソ連軍に支配された傀儡政権のため、伝統音楽をやらされ続ける二人の姿を描いていくエピソードも、パリで再開するエピソードも、中心となるのは音楽の描写だ。


 そこで流れる、またはパフォーマンスされる音楽が、時代や国の事情を物語る重要な要素として機能する。ポーランドで必要とされる音楽、そしてジャズや、ロックンロールの最初の大ヒット曲とされる、「ロック・アラウンド・ザ・クロック」に代表される、自由を求める音楽が、冷戦下の東側世界と西側世界に住む人々の境遇を、それだけで浮き彫りにしてしまう。この趣向のおかげで、いろいろな問題をセリフで語らせてしまうという不粋さを、本作は極力回避できているのだ。



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