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『50年後のボクたちは』ドイツの若き巨匠ファティ・アキン監督の新たな一面

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『50年後のボクたちは』ドイツの若き巨匠ファティ・アキン監督の新たな一面

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『50年後のボクたちは』あらすじ

マイクは14歳。クラスメイトのタチアナに片思い中だが、臆病者で話しかけることができない。クラスでははみだし者で、授業でアル中の母親についての作文を読むと、同級生から「変人(サイコ)!」と笑われ、先生から大目玉を食らう始末。ある日、担任が転校生を連れてやってきた。チチャチョフという聞き慣れない名前。「どこの出身か自己紹介を」「面倒くせえ」どうやらロシアのかなり遠い所から移住してきたらしい。目つきが悪く、変な髪型で二日酔い。とんでもない奴がやって来たと、転校生・チックの噂はすぐさま学校中に広まった。


夏休みが始まった。ある日突然、チックが青いオンボロのディーゼル車“ラーダ・ニーヴァ”に乗って家にやってきた。「盗難車か?」「借りただけさ あとで返す」「捕まるぞ」「俺は14歳だ 刑罰は15歳からさ」恐る恐る、車内を見渡すマイク。「ドライブに行こうぜ」そして2人はチックの祖父が住んでいるという“ワラキア”を目指して旅に出た。トラブルに遭遇しながらも旅の途中でいつくもの出会いと別れを繰り返していく。やがて無鉄砲で考えなしの旅は、マイクとチックにとって一生忘れることのできないものになっていく――。


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子どもが主人公の映画はなぜ魅力的なのか?



 子どもが主人公の映画に外れなし! 『小さな恋のメロディ』(1971)、『ペーパー・ムーン』(1973)、『ダウンタウン物語』(1976)、『シックス・センス』(1999)、『ハリー・ポッター』シリーズ(2001~2011)と並べれば、誰もが頷いてくれるだろう。冒険ものだって、『E.T.』(1983)、『グーニーズ』(1985)、『スタンド・バイ・ミー』(1986)と傑作ぞろい。子どもが主人公の映画には、なぜもこんなに惹かれるのか?


 成長していく姿にカタルシスを得られる、というのはその大きな理由の一つだ。子どもだからこそ許されるやんちゃな振舞いに自分を重ねて、日ごろのうっ憤を晴らすというのもあるだろう。また、活躍する俳優が子役出身ならば、「こんなに立派な役者になって……」とタイムトラベル的に子どもの頃の主演映画を楽しむことも可能だったりする。映画監督にしてみれば、大人が主人公だとちょっと重いテーマを、ライトに描けるのが魅力なのかもしれない。


 盗んだおんぼろ車で旅に出て、ミステリアスな少女と出会い、成長していく14歳の少年たちのひと夏を描く『50年後のボクたちは』は、ドイツ国内で220万部を売り、26カ国で翻訳されるベストセラーの映画化だ。本作には、中流家庭の一人息子マイク(トリスタン・ゲーベル)、ロシア系ドイツ人のチック(アナンド・バトビレグ・チョローンバータル)、プラハの姉の家を目指す少女イザ(メルセデス・ミュラー)と個性的な子どもたちが登場する。



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