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永遠に忘れないーー。12歳の自分に戻ってしまう『スタンド・バイ・ミー』という魔法

(c)Photofest / Getty Images

永遠に忘れないーー。12歳の自分に戻ってしまう『スタンド・バイ・ミー』という魔法

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クリスよりも早く逝ってしまった、リバー・フェニックス



 公開から30年以上経ったこの映画は、人々の思い出とともに記憶されている有名な作品だが、アメリカでの初回上映はたった16館だけだった。公開から3週間目にようやく約700館に増え(それでも通常は1,200館前後なので少ない)、4週目で約800館まで増え、全米第1位を獲得した。


 日本での公開と宣伝は打って変わって最初から大々的だった。クリス役のリバー・フェニックスが来日し、『笑っていいとも』などに出演した。映画のクリスとは違って、背も髪も伸びて、かなり良い男に変身していて、とても眩しかった。その姿は、映画のエンディングでも大人のゴードンが語っていたように、小さな世界(キャッスルロック)から出て、頑張って素敵な男になった姿と重なって、余計にキラキラ見えたものだ。そんなリバー・フェニックスも、1993年に23歳という若さで早逝してしまった。クリスよりも早く――。



『スタンド・バイ・ミー』(c)Photofest / Getty Images


 「クリスとは10年以上会ってなかった。だが永遠に彼を忘れはしまい――」。暑くなり始めた6月の終わり、このセリフが頭をよぎる。私も、すっかり大人のゴーディの方が年齢的に近くなってしまった。私にとって『スタンド・バイ・ミー』とは、そのセリフと同じである。長くこの映画を再見することもなくても、それでも永遠にわすれはしまい――。そして、パソコンを閉じて、私も今の生活に戻るのだ。




文:杏レラト<あんずれらと>

雑誌「映画秘宝」(洋泉社)を中心に執筆。著書『ブラックムービー ガイド』(スモール出版)が発売中。



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