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永遠に忘れないーー。12歳の自分に戻ってしまう『スタンド・バイ・ミー』という魔法

永遠に忘れないーー。12歳の自分に戻ってしまう『スタンド・バイ・ミー』という魔法


なぜか感じる懐かしさ



 この映画を思い出してしまう理由の一つが、私を映画好きにさせた映画だからだ。私はこの映画を見終わる頃には、スクリーンに映っていたクリス(リバー・フェニックス)と映画というものに夢中になっていた。もしあの時、私がこの映画に出会っていなかったら、今、この原稿を書くこともなかっただろう。私は今、まさに本作のナレーションでもある大人のゴーディ(リチャード・ドレイファス)のエンディングの時のように、思い出に浸ってパソコンに向かっている。


 『スタンド・バイ・ミー』は、人生を大きく変えた宝物のような映画だ。この映画を語る時、誰もがそのようなパーソナルな思い出をつい思い出してしまう気がしてならない。かつて出版された『スタンド・バイ・ミー メモリアル』(創樹社:1988)を今でも持っているのだが、淀川長治氏などの名だたる映画評論家たちが、映画を評論しながら自分の思い出を語っている。この映画の持つノスタルジックな雰囲気がそうさせるのだ。




 舞台となった50年代後半の、ポップミュージックやクラシックカーやファッションが、その雰囲気を作り出しているのは紛れもない事実ではあるが、理由はそれだけでもない。主人公が12歳というのもある。4人がいきがってタマだのエロ本の話だのをしながらも、ゴーディがクリスの肩を借りて泣くというシーンは12歳ならありうる。キーファー・サザーランドが演じたエースくらいの歳では、観客も感情移入がしにくく、そんなシーンはありえないだろう。主人公が12歳という設定だったから起きたマジックだ。


 そしてその4人それぞれが、コンプレックスを抱えている。ゴーディは兄弟間に生じた格差による両親からの愛情不足、クリスは出自による偏見、テディは戦争でPTSDの父を持ち、バーンは頭の回転が遅くイジられる。映画ではこの4人の切ない結末に現実味を感じるが、それでも4人はこの冒険で成長させた。たった1泊の冒険が彼らを成長させたのは、やっぱり12歳だったからだろう。そんな風に思っていると、この映画の最後に画面に「あの12歳の時のような友だちは、もうできない――。もう2度とは……」と出てくる。観客は気づいてしまう、確かにそうだな、と。



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