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永遠に忘れないーー。12歳の自分に戻ってしまう『スタンド・バイ・ミー』という魔法

(c)Photofest / Getty Images

永遠に忘れないーー。12歳の自分に戻ってしまう『スタンド・バイ・ミー』という魔法

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死体と8人の少年たち



 『スタンド・バイ・ミー』を見た数年後、ジョン・シングルトン監督の『ボーイズ’ン・ザ・フッド』(91)を見て私は驚いた。ロサンゼルスの4人の少年も、同じ「死体を見たくないか?」というセリフとともに、線路を歩いて死体を見に行くシーンがある。『スタンド・バイ・ミー』と全く同じなのに、状況はまるで違う。『ボーイズ’ン・ザ・フッド』の少年4人は、銃で撃たれた死体を見ることに慣れてしまっていて、「臭ぇ」などとシビアで辛辣で、『スタンド・バイ・ミー』の少年たちのように感情的になることはない。『ボーイズ’ン・ザ・フッド』の4人のリアクションの違いに思わず笑ってしまったが、その違いが良く描かれていて、そういうことなのだと理解できた。


 『スタンド・バイ・ミー』では死体を見つけた時に、主人公ゴードンが同じ年頃の死体を見て感情的になり、父から拒絶された辛さを吐露し、クリスの肩を借りて泣くシーンとなっている。そのシーンの撮影前日に、ロブ・ライナー監督がホテルで書き足したことを明らかにしている。ロブ・ライナー監督も2世監督で、父は監督・俳優として知られるカール・ライナーである。この映画で描かれた父・息子のような摩擦がある関係ではなく、良好な関係を築いているが、そんなロブ・ライナーがあのシーンを書いているのも興味深い。



『スタンド・バイ・ミー』(c)Photofest / Getty Images


 2世と言えば、名優ドナルド・サザーランドとシャーリー・ダグラスの息子キーファー・サザーランドもこの映画に出演している。今や、『24 -TWENTY FOUR-』(01-10)のジャック・バウアーとして世界的スターとなった彼は、この映画では主人公4人を脅かす街一番の不良、エース役で登場している。バーン役のジェリー・オコネルは、この映画撮影期間中ずっとキーファー・サザーランドに怯えていたという。肝心の主人公4人のキャスティングについて、監督は「12歳を演じる子たちに演技力は求めなかった。だからなるだけ役に近い俳優を選んで自然に演技をさせた」と語っている。



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