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『ディリリとパリの時間旅行』巨匠ミッシェル・オスロが描く「ベル・エポック」の神髄

『ディリリとパリの時間旅行』巨匠ミッシェル・オスロが描く「ベル・エポック」の神髄

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差別が吹き荒れる“コレット”の時代



 ディリリはニューカレドニアの先住民とフランス人の間に生まれた女の子である。彼女はフランス語を流暢に操りながら、フランス人の振る舞いのことを「部族の風習」と表現するように、多くの人々が持っている固定観念や、文明における上下の意識から自由な存在である。


 そんな聡明な主人公ディリリが、“男性支配団”によって、屈辱的なおそろしい体験をさせられる描写には、観客の胸が引き裂かれることになるだろう。そして、同様にそんな扱いを受ける大勢の女性たち一人ひとりにも、それぞれの人生があり、それぞれの人格や個性があるという当然のことを、そこであらためて思い知らされるのである。




 ベル・エポックの時代は、自由な気風が花開いたとはいえ、まだまだ女性の地位は低かった。日本でも近頃公開されたキーラ・ナイトレイ主演映画『コレット』(18)では、まさしくベル・エポックの時代、身勝手な夫や、男性上位社会の圧力によって、自分の名前で書籍が出版できなかったという、実在する女性の小説家・コレットの事情が語られていた。そのコレットは、本作で大勢姿を見せる文化人の一人として登場しているので探してみてほしい。



 しかし、そんなコレットをはじめ、オスカー・ワイルドやアンドレ・ジッドなどの作家であったり、ルノワールやピカソ、トゥールーズ=ロートレックらの画家たちであったり、はたまた化学者のマリ・キュリー、ルイ・パスツール、そしてエリック・サティやクロード・ドビュッシーなど の音楽家などなど、これらの著名人たちは、なぜこんなにも大挙して本作のなかに現れるのだろうか。それは、これら進歩的な文化が、前述したような旧弊で暴力的な思想に対抗するものになるという、監督の信念があるからである。



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