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『ヒンディー・ミディアム』インドの社会問題を描きつつも楽しく笑えて最後に泣ける、映画娯楽の真骨頂!

『ヒンディー・ミディアム』インドの社会問題を描きつつも楽しく笑えて最後に泣ける、映画娯楽の真骨頂!


『ヒンディー・ミディアム』の基礎知識



 『ヒンディー・ミディアム』のあらすじは、町の洋裁屋の息子として生まれながら、自社ビルを持つまで立身したお父さんラージと恋女房のお母さんミータが、ひとりっ子の愛娘ピアを良い学校に通わせたくて奮闘する、というもの。


 タイトルの「ヒンディー・ミディアム」とはヒンディー語で授業を行う公立学校のこと。本作の両親が娘に通わせようとしているのは英語で授業を行う私立学校「イングリッシュ・ミディアム」である。ここからは、非常にインド的な「英語」のスタンスが見えてくる。


 本作で使われているヒンディー語に、『ムトゥ踊るマハラジャ』(95)で使われるタミル語。『バーフバリ』(15)のテルグ語。映像作家サタジット・レイのベンガル語などなど。公用語として認定されている言語だけでも15以上あるインドでは、過去イギリス領であったこともあり、公的な共通語として英語が使われている。そのため、英語が使えるか否かで仕事の選択肢が歴然と変わってくるのである。




 インドで英語教育を受け損なったものの、苦労して一代で成り上がった夫婦にとって、娘の幸せな将来を考えれば、幼い頃から英語教育を受けさせようと思うのは、日本人が子供をインターナショナルスクールに通わせる感覚よりも、もっともっと切実な問題なのである。


 そして、日本でも高校生くらいの多感な若者たちが「スクール・カースト」といった言葉で、自分の“所属”するランクのようなものを付けているようだが、知っての通り、この「カースト」本来の意味はインド、ヒンドゥー教の身分制度のことだ。


 宗教儀式に従事するバラモン。貴族階級のクシャトリヤ。商人のヴァイシャ。労働者階級のシュードラ。この4つの“外側”にアウト・カースト:不可触民がいる。現在インドではカーストに根ざした差別は違法化され、公には差別は無いことになっている。しかし、依然カーストに捉われている人は多く、特にアウト・カーストに対する差別は凄惨を極めているようだ。




 本作の主人公夫婦ラージとミータはカーストで言えば商人のヴァイシャだが、「一代で」成り上がった成功者だというのがキモである。その夫婦が目指す学校には、貴族階級のクシャトリアか、ヴァイシャでも代々裕福な家に生まれた子供が入学しており、ラージたちにとっては「手が届くようになった」ランクなのである。



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