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『アイネクライネナハトムジーク』が奏でる、小説・音楽・映画の幸福な“出会い”

『アイネクライネナハトムジーク』が奏でる、小説・音楽・映画の幸福な“出会い”

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群像のアンサンブルを奏でる多彩なキャストたち



 演者のキャスティングと各俳優の役作りも、原作のイメージを尊重したことがうかがわれ、伊坂ファンの期待を裏切ることはない。佐藤役の三浦春馬と紗季役の多部未華子は、誠実で前向きだが時には弱気になったり思い悩んだりと、ごくごく普通の男女をナチュラルに表現。さらに、佐藤の上司・藤間役の原田泰造、美容師・美奈子役の貫地谷しほり、高校生の美緒役の恒松祐里と和人役の萩原利久など、中堅から若手まで適材適所で持ち味を発揮している。


 そんななか、原作のキャラクターを超えるほどの魅力を放つのが、佐藤の大学時代からの親友・織田一真役の矢本悠馬と、その妻・由美役の森絵梨佳だ。小説の中で一真は「二枚目の部類ではあるが、その二枚目度合いを相殺してあまりあるほどに、変わった性格」と評されていた。映画ではおそらく、共演するシーンが多い三浦春馬とのコントラストを狙って、やんちゃ坊主がそのまま大人になったような風貌の矢本を起用したのだろう。




 矢本は期待に応え、根拠なく名言めいたことを自信たっぷりに語る一真を説得力十分に演じた。そんな一真に半ば呆れながらも愛情を保ち、しっかりと家族を守る美人妻を、森絵梨佳が柔和な表情と穏やかな台詞回しで体現。自分のダメな部分を自覚する多くの男性観客の目に、優しく包容力に満ちた由美のキャラクターは理想の女性として映るのではないか。これまでどちらかと言えばファッションモデルとして雑誌やCMの仕事が多かった森だが、本作を機に女優の仕事が増えるのは確実だろう。



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