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『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』ジョン・ヒューズの定義を更新したソーシャルメディア時代の学園映画

『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』ジョン・ヒューズの定義を更新したソーシャルメディア時代の学園映画

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インターネットと共に生きる子どもたち



 本作の主人公ケイラは内向的で、「学校内で最も無口な子」に選ばれ居場所を見つけられないでいる。一方オンラインでは対照的に、自身のYouTubeチャンネルを通して、自分らしくいることの価値や自信を持つ方法についてのアドバイスを発信している(「よく無口って言われるけど、本当はただ気分じゃないからあえて話さないだけ」という彼女の言葉は鋭い)。ほとんど閲覧はされていないものの、それは彼女がある種自己省察する方法であり、あたかも自身を鼓舞し、カウンセリングする方法のようでもある。


 ミレニアル世代のバーナムは、自分の記憶や思い出を投影したものではなく、あくまでもソーシャルメディアが生活の中で大きな部分を占める<ジェネレーションZ>と呼ばれる世代を描く本作を作るにあたって、ネット上に投稿されている中学生たちの自撮り動画を通して調査を図ったという。


 ケイラがノートパソコンのカメラで自身の動画を録画しているところから映画は始まり、デスクトップの画面を拡大した粗い映像からゆっくりとズームアウトしていくと、鮮明な4Kカメラの映像にカットが切り替わる。この冒頭のショットは、本作が、デジタルについての物語であることを的確に示している。




 ソーシャルメディアの普及によって、子どもたちは教室だけでなく、InstagramやTwitter上でも他者の視線によってジャッジや検証されている。いいねやフォロワーの数でクールかどうかが可視化され定義されてしまうために、他者からの承認がますます重要に感じられてしまうだろう。これは、そのような時代に生きる彼らの不安やストレスを扱っているのだ。筆者が行ったインタビューで、バーナムは次のように語っていた(以下、本稿での監督の発言は拙インタビューからの引用)。


 「ぼくが作りたかったのは、インターネットと共に生きるということが、今の時代においてどういう意味を持つのかを探る作品です。インターネットと距離を保ちながら関わっている人ではなく、ごく身近なものとしてインターネットと共に暮らしている人たちの感覚で、それを描きたかったのです。たぶんそれを一番純粋に経験してるのが今の13歳だと思います。あるいは、インターネットで声を持つ人がみんな13歳のように行動するという風に言うこともできます。ケイラは唯一、ネット上でも13歳の自分のままでいる。そうした人物として選びました」



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