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iPhoneから35mmフィルムカメラへ、変幻自在の撮影方法がもたらす映像力『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』

iPhoneから35mmフィルムカメラへ、変幻自在の撮影方法がもたらす映像力『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』

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瞬時に心掴まれる、色彩と子供達の圧倒的な魅力



 パワフルで、可愛らしく、そして何よりもビューティフル。これだけ形容詞を並べても、まだ足りない。よく我々は映画で感動した時のことを「魔法にかかった」などと言うけれど、『フロリダ・プロジェクト』ほどこの表現に適した作品は他にないだろう。実際、魔法にかけられた人は世界中に続出中で、誰もがこの映画について語るとき、まだ夢が続いているかのように瞳を輝かせる。カンヌ国際映画祭での上映を皮切りに観客や批評家の激賞の嵐を獲得し、さらにはゴールデングローブ賞やアカデミー賞を始めとする数多の賞レースでもその存在感を見せつけた本作。そのタイトルからして「ドキュメンタリーっぽいなあ」とか「どんなストーリーなのか全く見当がつかない」という人でも、冒頭の3分間、スクリーン狭しと自由闊達に動き回る子供達の姿を目にするだけで、その強烈すぎるほどのエネルギーに飲み込まれてしまうだろう。



 この不可思議な言葉“フロリダ・プロジェクト”とは、そもそもフロリダにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートが着工された際の、初期プロジェクト名でもあるという。だが、本作はもちろんディズニー・ワールドの映画などではない。舞台はその外側にある安モーテル。もともとディズニーがらみの観光客目当てに建てられたこれらのモーテルは、今ではすっかり寂れてしまい、普通のアパートに入居することができない低所得家族の、“最後の身寄りの場所”と成り果てている。本作はそこで暮らすシングルマザーと幼い娘が奏でる物語なのだ。


 貧困、低所得、住宅事情。隠れホームレス。そう書くと切実で悲惨な雰囲気が伴うが、しかしそれを直接的には感じさせないところに本作の不可思議な魔法がある。


 巨大なモーテルの外壁はこの世のものとは思えないパープル色で塗られ(実在するモーテルを使用しているとのこと)、その周囲には陽光に照らされたハイウェイやアスファルト。近くには鮮やかな緑も広がっている。他にもレジ袋のピンク、澄み切った青空と溶け合うヘアカラーなど、目の覚めるような色彩が満載。これら全てが、現実からふわりと浮遊したかのようなマジカルな空気感を醸成してやまないのだ。




 そこにモーテルで暮らす子供達の、元気と想像力とユーモアでいっぱいの声があふれる。頭で考えるよりもまず体を動かさずにいられない、ちびっ子ギャングたちのバイタリティはもう最強。いつの間にか現実を覆っていた切実さは別の次元へと昇華され、我々はいつしか、かつて自分も経験したあの冒険いっぱいの「夏休みの子供」の心境にすっぽりと包まれている。



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