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『インサイド・マン』名コンビ、スパイク・リー&デンゼル・ワシントンの最大ヒットとなった異色作

(C) 2006 UNIVERSAL STUDIOS and GH TWO LLC.All Rights Reserved.

『インサイド・マン』名コンビ、スパイク・リー&デンゼル・ワシントンの最大ヒットとなった異色作


スパイク・リーらしさとは?



 自分が語りたいと思う物語を撮りたいと映画監督になったスパイク・リーは、脚本も自らの手で手掛けるのが常だが、本作はラッセル・ジェウィルスが脚本を担当した。『マルコムX』や『クロッカーズ』(95)のように原作が存在していても、脚色という形でスパイク・リーが手を加えているが、『ガール6』(96)では脚本はおろか脚色からも離れてしまった。続く『ゲット・オン・ザ・バス』(96)でも脚本も脚色も担当しなかったが、それでもプロデューサーとして作品に大きく関わってきた。しかし、本作ではそのプロデューサーすらも担当していない。つまりは、初の雇われ監督となった作品なのである。


 だからと言ってスパイク・リーらしさのない作品かというと、そんなことは全くない。本作を御覧になった方なら分かっていただけるであろう。オープニング、古い建造物や銅像、街の喧騒などからニューヨークを感じさせる映像が流れる。セリフの至る所で、他民族都市ニューヨークを思わせる際どい人種ジョークが出てくる。脚本を書いていないはずのスパイク・リーの存在を感じるのだ。



(C)  2006 UNIVERSAL STUDIOS and GH TWO LLC.All Rights Reserved. 


 また、早くに解放された人質が頭にターバンを巻いていたことで、警察官の1人は憎悪を露わにする。911同時多発テロ以降に多く見られるアラブ人への偏見だ。フレイザーとマデリーンが会話する背景の壁には、テロ復興の際のスローガンとなった「我々は決して忘れない」の文字が映る。それらは、ニューヨークと911以降のアメリカがこの映画のテーマの1つであり、メッセージをスクリーン全体で伝えようとするスパイク・リーそのものにも見える。


 他にも、暴力的なラップとゲームに夢中な黒人少年の人質が、は犯人のダルトンに怯えることもなく、逆にダルトンには憧れている様子さえみせるという、スパイク・リーらしい批判精神も垣間見られる。また、解放された時に、人質だった黒人警備員が警官に囲まれやたらと怯えていたのも、今日の黒人と警察官の関係性を表現し、黒人社会の声を反映している。


 そして、スパイク・リー作品お馴染みのドリー・ショット(台車に乗っての撮影。通常はカメラのみが台車に乗るが、スパイク・リーの場合は被写体も台車に乗る)も登場する。これは紛れもないスパイク・リー作品なのだ。



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