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『インサイド・マン』名コンビ、スパイク・リー&デンゼル・ワシントンの最大ヒットとなった異色作

(C) 2006 UNIVERSAL STUDIOS and GH TWO LLC.All Rights Reserved.

『インサイド・マン』名コンビ、スパイク・リー&デンゼル・ワシントンの最大ヒットとなった異色作

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影響を受けた作品群



 撮影前にスパイクは、デンゼル・ワシントンとキウェテル・イジョフォーに『狼たちの午後』(75)と『セルピコ』(73)を見ることを薦めた。ともに、シドニー・ルメット監督&アル・パチーノ主演作品である。そして、デンゼル・ワシントン演じる主人公は、目立つ白いフェドーラ帽を被っている。帽子の色こそ違うが、ラストシーンなどからも察するに、恐らく『ディック・トレイシー』(90)からの引用であろう。


 脚本家のラッセル・ジェウィルスはユダヤ系アメリカ人で、クリストファー・プラマーが演じたアーサー・ケイスという大物に、ドストエフスキーの「罪と罰」の主人公ラスコーリニコフを反映している。ナチスに手を貸して富を得たケイスに、罪の意識で苦悩させるように仕向けるあたりが、まさに「罪と罰」だ。



『インサイド・マン』(C)  2006 UNIVERSAL STUDIOS and GH TWO LLC.All Rights Reserved. 


 実はスパイク・リーは、過去にユダヤ系団体と揉めたことがある。『モ’・ベター・ブルース』では、クラブ経営のフラットブッシュ兄弟(ジョン・タトゥーロー&ニコラス・タトゥーロー)を守銭奴に描き、ユダヤ系団体から「偏見を増殖させる」と猛反発を受けた。そこに黒人の政治的活動家たちも加わり、大論争になったことがある。そういった経緯もあり、本作や最新作の『ブラック・クランズマン』(18)では、スパイク・リーがユダヤ系に配慮しているのが伺える。



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