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映画全体が上から下を見せていくように設計されているんです。『パラサイト 半地下の家族』プロダクションデザイナー イ・ハジュン【Director’s Interview Vol.50】

映画全体が上から下を見せていくように設計されているんです。『パラサイト 半地下の家族』プロダクションデザイナー イ・ハジュン【Director’s Interview Vol.50】

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豪邸と対照的な半地下の家



Q:半地下の家で、トイレが高いところに設置してあるのが印象的でした。あれは(トイレより低いところで生活している)象徴として高く設置したのでしょうか?それとも実際に半地下の家の高いところに設置してあるものなのでしょうか?


イ・ハジュン:実際に半地下のトイレはほとんど高いところにあります。同時に、私たちは映画の中に、ある種のメタファーを必要としていました。これは現実とメタファーの正しいミックスであり、私が映画の中で好きな場所でもあります。


私自身、大学時代に先輩と一緒に少しの間、半地下に住んでいたことがあったんです。環境は良くなかったですが、そこでの暮らしを楽しんでいました。当時を思い出してデザインを描いたのですが、経験からくるデザインは絶対的です。面白い場所を登場させることができて、とても満足しています。




Q:豪邸の家と半地下の家で、それぞれ外に面している窓が非常に印象的でした。あれは対比を意識して設置されているのでしょうか?


イ・ハジュン:建築やインテリアを複雑なかたちではなく、簡素で、時にほっとできて、時に密度を感じるように見せたいと思いました。映画の中で、(建築家の)ナムグンがパク家の豪邸を建てた時、1階のリビングは庭を楽しむように作られていると監督が説明してくれました。私は、建築家ナムグンの哲学がそこにあると考えました。


よって、一般的な家のリビングとは違って、パク家の1階のリビングにはテレビがありません。加えて、リビングの窓は2.35:1のアスペクト比になっていて、リビングや庭が素晴らしい写真や絵画のように見えるようになっています。




対照的に、半地下の窓はみずぼらしく、貧しく見えますが、裕福な家ではみることのできない半地下住宅ならではの生活感があります。私は実際よりも窓を広くして、街の様子を見せるようにしました。




これらの窓は対比を見せるという計画のもとに作られています。また、2つの空間はいずれも野外のセットで建てられたので、窓からの光の角度や時間が重要でした。それを事前に計算して、デザインし、セットを作りました。


Q:(美術の観点から)この映画の見所を教えてください。


イ・ハジュン:最初のシーンが特に気に入っています。半地下のシーンでは、洗濯物が外の至る所にぶら下がっていて、窓から車や人が行き来しているのが見えます。これは窓から日の光が差し込んでいる数少ないシーンの1つです。




私たちは外にセットを建てたので、日が差すことが時々ありました。日が差し込むまさにその時に撮影することで、リアルな画と空気感を得ることができました。なので、私はこのシーンが大好きなのです。





@LEE JAEHYUK

プロダクション・デザイナー(美術監督):イ・ハジュン 

ポン・ジュノ監督とは、Netflixオリジナル映画「オクジャ/okja」(17)に続く、2度目のタッグ。そのほか『ハウスメイド』(10/イム・サンス監督)、『10人の泥棒たち』(12/チェ・ドンフン監督)、『ドラッグ・ウォー 毒戦』(12/ジョニー・トー監督)、『海にかかる霧』(14/シム・ソンボ監督)など話題作を手掛ける。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




『パラサイト 半地下の家族』

出演: ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン 

監督:ポン・ジュノ(『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』) 撮影:ホン・ギョンピョ 音楽:チョン・ジェイル 

提供:バップ、ビターズ・エンド、テレビ東京、巖本金属、クオラス、朝日新聞社、Filmarks/配給:ビターズ・エンド 

(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED /2019年/韓国/132 分/PG-12/2.35:1/

英題:PARASITE/原題:GISAENGCHUNG/

公式サイト:www.parasite-mv.jp


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