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子どもの想像を映像にしたい。奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』【Director’s Interview Vol.51】

子どもの想像を映像にしたい。奥山大史監督『僕はイエス様が嫌い』【Director’s Interview Vol.51】

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長編第1作目の映画『僕はイエス様が嫌い』で、サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を史上最年少の22歳で受賞。その後も国際映画祭での受賞が続き、学生時代の自主映画にも関わらず、そのクオリティでTOHOシネマズでの上映まで実現してしまった奥山大史監督。初監督作品にしてあのクオリティはどうやって実現できたのか、監督自身に話を伺った。


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映画祭に行きたいなら、なるべく映画を撮らないこと



Q:本作は長編初監督だったそうですが、どういった経緯で映画化されたのでしょうか。


奥山:大学の卒業制作で、どういうものを作ろうかと考えていた時に、自分が小さい頃に体験したことを映画化できればと思ったんです。小さい頃に友達を亡くした経験があって、彼との思い出を映画にできればと。最初は、「宗教」をテーマにしようとは考えず、「友情」を軸にストーリーを考え始めた感じでしたね。


Q:卒業制作というと、映像系の学部だったのですか?


奥山:いえ、総合大学の文化にまつわる学部だったので、映画の制作について学ぶというよりも、プロデュース論みたいなことを学んでいました。どうやって作るためのお金を集めて、どうやって使ったお金を回収するかという、製作費の流れについて学んだりする学部でした。ただ、映像を実際に作ってみるっていうゼミがあって、卒業制作はそこで作ったんです。


芸術大学のように卒業制作に対して学校からお金が出るようなシステムは全く無いので、自分でお金を集めるしかありませんでした。また、集めたからには回収しなくてはいけないので、学校で学んだことは必然的に活かされましたね。


Q:プロデュース論は学ばれたとしても、演出に関してはどこで学ばれたのでしょうか。


奥山:ダブルスクールで映画美学校に通って、そこで学びました。楽しかったですね。美学校は。




Q:深田晃司さんをはじめ、美学校出身の監督の方は最近多いですよね。


奥山:僕が美学校に通っていた頃は、深田さんは既に先生でした。直接習ってはいませんでしたが、建物内でお会いするとよく話をしてくれて、色んなことを教えてくれました。その時話してくれたことが、今ためになってますね。「深田さんみたいに映画祭で海外に行ってみたいです」なんて呑気に話してたら、「映画祭に行きたいなら、なるべく映画を撮らないことですよ」って深田さんが言うんです。その時は、この人何を言っているんだろうって不思議に思っていました。


でも今になって、よく分かります。要は、監督にとって長編2作目までが対象の部門が多くの海外映画祭にあるので、気軽に長編を撮ってしまうとそれもカウントされてしまい、本気で映画祭に出品しようと思って作ったものが3本目だと、その時点で新人監督部門には出せなくなり、早速、各国の巨匠たちと比べられることになります。だから、長編を撮るんだったら映画祭を目指せるレベルに達するまでとっておいた方が良い、ということなんですね。実際に、サンセバスチャン国際映画祭では、新人監督部門で賞を取ることが出来ました。


深田さんは、その点に加えてフランスの助成金のシステムの観点からもそういったことをおっしゃっていましたが、どちらも実際に映画を作るようになってから少しづつ理解できるようになりましたね。



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